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Saturday, February 19, 2022

始める人への支援が充実、幅広い農業の多様な働き方|いいかも地方暮らし|はじめての移住応援サイト - 地方創生

始める人への支援が充実、幅広い農業の多様な働き方

携わり方は多種多様、農業法人への就職も

テレワークの普及もあり自宅で過ごす時間が長くなり、自分の暮らしを見つめ直す機会が増える中で、生活者の農業への関心が高まっているように思います。私の周囲にも、直販サイトを利用してこだわり野菜を購入する人や、市民農園を借りて野菜の栽培を始めた人が目立って増えています。しかし、これまで農業とは縁のなかった人の中には、地方に移住して農業を始めるということについてイメージが湧かない人も多いのではないでしょうか。

農業は農作物を生産する仕事です。田畑などでの農作業はもちろん、市場ニーズを捉えて生産計画を立てる、収益性が高い販路を開拓するなど、農作業ではない仕事もたくさんあります。農業以外の業種から転職した人の中には、前職での経験やスキルを活かして、販路の開拓、加工品の商品化など「農業生産 + α」で新たな取り組みに挑戦する人や、AIやloT技術を導入して生産性向上や農作業の省力化を実現する人が数多くいます。農業は、アイデア次第でビジネスや働き方の選択肢を増やすことができる仕事になっています。

これまで農業とは縁がなかった人が、仕事として農業を始める方法はおおまかに二つ。一つ目は、自分で農業経営を始めるスタイル。二つ目は、農業経営を行う法人に就職するスタイルです。

農業を始める人への支援は充実拡大

農業経営を始めるためには、栽培技術の習得はもちろん、農地を確保する、農業機械や設備を揃えるなどの初期投資が必要になります。実家が農業を行っている人は、既存の経営体を基盤にして経験や資産を受け継ぎながら新たな作物に挑戦するなど、自分なりの農業を目指すことができます。一方、「非農家出身者」にとっては、農業経営を始めることは起業することと同じですので、相応の覚悟と準備が必要です。

近年、非農家出身者でもスムースに農業に参入できるような支援を行っている地域が増えてきています。これらの地域では、行政やJA(農業協同組合)など地域の農業関係者が一体となった支援体制を組んで、農業技術や経営を学ぶ研修から、経営計画の策定や農地の確保などの農業を始める準備へのサポートを行っています。

例えば、スモモの産地として知られる山形県大江町では、行政とJA、生産者団体等が農業研修生を支援する協議会を結成。農業研修プログラムを行い、農地を斡旋してくれます。経営を始めるにあたって、農業機械や作業場を共同使用することで初期投資を抑える仕組みも用意されています。また、行政が移住者向けの住宅を用意し、家賃や光熱費を支援しています。大江町では、この取り組みを開始した2013年以降、16人が新たに農業経営を始め、全員が辞めることなく農業を続けています。

写真提供:大江町就農研修生受入協議会(山形県)

こういった支援の形は全国に数多くあります。自ら経営を始めたいという人は、地域の支援体制をしっかりと調べることをお勧めします。

「農業法人に就職」という選択肢

いきなり経営を始めることは心配という人には、「農業法人に就職する」という方法があります。農業法人とは、個人ではなく、株式会社などの形で農業経営を行う組織のことで、近年、飛躍的に増えています。農業法人に就職すると、給料をもらいながら社員として農業で働くことができます。一般企業での勤務と近いスタイルで働くことができることもあり、この方法で農業を始める人の約8割は「非農家出身者」です。

人材育成を大切にしている農業法人も多く、一定の能力を身に着けた社員を、積極的に暖簾分けする仕組みを持った会社もあります。こうした農業法人を選んで就職し、農業技術や経営手法を学びながら、将来的に独立を目指すという道もあります。

写真提供:株式会社ロックファーム京都(農業法人)

興味を持ったら「農業をはじめる.JP」

農業に興味を持って情報を集めたいけれど、どこに情報があるのか分からないという人は、ぜひ就農情報ポータルサイト「農業をはじめる.JP」(https://be-farmer.jp)にアクセスしてみてください。このサイトには、就農相談会や農業体験などの入り口になるイベントや、支援が充実した地域についての情報が日本全国から集まってくるとともに、農業を始めた人の体験談など、農業に関心を持たれた人に役立つコンテンツも掲載されています。(注:就農=農業に就業すること)

漠然とでも自分のやりたい農業がイメージできた人は、全国新規就農相談センターや各都道府県に設置している就農相談の窓口に、気軽に相談してみてください。(相談窓口の連絡先やメールアドレスは、「農業をはじめる.JP」に掲載されています。)

関心のある地域や農業法人が定まったら、自治体や農業法人が実施している短期農業体験や農業インターンシップを利用して現地を訪れ、農作業を行ってみるとよいでしょう。「こんなはずじゃなかった」と後悔することのないように、自分と地域生活や農業との相性を確認することはもちろん、地域の農業者と直接話をして、農業を始めた後の生活、支援体制などをきちんと確認しておくことが、とても大切です。

私は仕事柄、多くの若手農業者の人と接する機会がありますが、そこで感じるのは、「農業は簡単ではないけれど、実に可能性に溢れる仕事である」ということです。移住に関心を持たれている皆さまの職業の選択肢に農業を加えていただければ嬉しいですね。

農林水産省経営局就農・女性課就農促進グループ 榊祐一郎さん

(2021年11月16日取材)

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February 18, 2022 at 03:02PM
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