第一次産業に特化した人材派遣サービス「YUIME(ゆいめ)」。4000人を超す人がスタッフとして登録している |
人材難による廃業で
第一次産業が危機
日本の屋台骨を支える第一次産業。農業、林業、水産業はなくてはならない重要な業種だ。
しかし近年、危機にひんしている。人口減少や高齢化のため、従事者が減少の一途をたどっている。中でも顕著なのが農業。内閣府の調査によると、2015年から2020年の5年間で農業経営体が21万9000戸も減少している。そのため、後継者が見つからずに廃業するところも少なくない。
こういった状況を解決しようと始まったのが、YUIME(ゆいめ)という人材支援サービスだ。YUIMEは「必要な時期に、必要な労働力」をモットーに全国の農家を支援。すでに人材派遣登録者(働き手)は4000人を超す勢いだ。今年1月には新たにオンラインで人材支援申し込みができるアプリとWEBサービスもスタート。農業を中心とした繁忙期の短期対応が可能な人材派遣としては日本で初めてである。
北海道帯広市の和田農園はYUIMEを活用する農家。主にじゃがいも、長いも、ごぼうを生産している中規模農家だが、「収穫期の人手が足らない」という悩みを抱えていた。
「長いもの収穫作業は秋から冬の数カ月間に集中します。収益を出す大事な時期ですが、この期間だけ働いてもらえるスタッフを探すのは骨の折れる仕事でした。そこでYUIMEに登録したのですが、スタッフは若くて体力があり、仕事を覚えるのが早くて助かっています。YUIMEとパートナーシップを結んでからは、安心して事業を展開することができるようになりました」と代表の和田政司さんは話す。
和田農園は以前、他の派遣会社にも依頼したことがあるが、その際、派遣スタッフしか来なかったので苦労したという。YUIMEはスタッフと社員が一緒に赴くため、農作業だけでなく今後の栽培計画を相談したり、人材育成への助言がもらえたりして助かっているという。
大規模な農園も人材確保には悩んでいる。北海道余市町の稲畑産業株式会社は、ブルーベリー栽培で日本最大級の農園だ。現在、規模拡大を進めているため、必要な人材をYUIMEから派遣しており、畑の雑草取りから収穫などあらゆる作業を担っている。農地が広いため、トラクターの運転が必要だが、YUIMEのスタッフは運転免許を持っているので、他の派遣会社では難しい作業も任せられると信頼のコメントを寄せている。
第一次産業に特化した
人材サービスを始めた理由
第一次産業に特化した人材サービスを始めた理由は何なのか。運営元の株式会社YUIME代表取締役の上野耕平さんに取材を行った。
「農業は、作物の植付けや収穫期などの繁忙期に人材が必要になります。しかし、それ以外の通常期はさほど必要ありません。ですので、必要な時期に必要な人材を派遣することが求められます。当社では産地間連携という方法を採っているのですが、例えば北海道と九州の農家がパートナーシップを結ぶと、年間を通して同じ作物を供給できるようになります。スタッフも同様に繁忙期の農家へ出向きますので、1年を通して各地の農業を支援することができるのです」(上野さん、以下同)
現在4000人の登録スタッフがいるが、個々のスキルに応じた派遣先を紹介している。未経験者でも農業に興味があれば歓迎とのこと。一度農業を体験してみたい、自然の中で働いてみたい。こういった希望で登録する人も多い。
社員が現場に同行して丁寧に教えてくれるため、農業未経験者でも安心して働くことができる |
「派遣先には社員が同行します。未経験の方には社員や先輩スタッフが現地で教えますので、みなさん次第に慣れていきます。派遣先や作業内容を選べますので、安心して働いてもらうことができる体制です」
ちなみに派遣先では、農家が所有する寮(男女別)で生活をするケースが大半だ。食事や光熱費は派遣先によって異なる。勤務歴が長いスタッフには、大型特殊免許の取得支援も行っており、正社員への登用制度もある。
外国人も積極的に雇用
「特定技能」の資格取得者にこだわる理由
このYUIME、特筆すべきは外国人を雇用している点だ。現在126人の外国人が社員として在籍している。技能実習生ではなく、キャリアを積んだ「特定技能」ばかりである。在留資格を持っており日本語が話せ、技術も習得しているため、即戦力として働くことが可能な人材である。
ちなみに日本では現在、新潟、愛知、京都、沖縄の4府県が「国家戦略特別区域農業支援外国人受入事業」の特区に指定されている。経営規模の拡大により、強い農業を実現するための国家戦略である。この特区において外国人派遣が認められた企業は各特区で数社しかない。その一つがYUIMEである。
「なぜ技能実習生ではなく特定技能を雇用しているかと言いますと、技能実習の場合、働く期間に制限があり、閑散期の雇用も条件となるため、無駄なコストが発生してしまいます。あくまでも実習生ですので農業の経験は乏しい人もいます。そうなると現場で初歩から教えなければなりません。しかし特定技能は、キャリアを積んだプロです。労働意欲が高く、早朝や夜間の作業もいといません。残業が発生しても頑張って働いてくれるので、農家にとって大きな労働力になるのです」
特定技能の資格を持つ外国人も活躍しており、全国の農家から高い評価を受けている。写真右から3人目は現場リーダーとして働くチャンナラーさん |
カンボジアから来日したチャンナラーさんはYUIMEで働く一人だ。現場での仕事ぶりが評価され、外国人として初めて現場リーダーになった。彼も技能実習生として日本で3年間学んだ後、特定技能の資格を取得した。現在は日本各地の農家で懸命に働いている。
「北海道でブロッコリーの収穫が終わったら、愛媛県にみかんの選別に行きます。みかんは11月から1月終わり頃までの3カ月間くらいです。それが終わったら熊本でトマトの収穫をする予定です」(チャンナラーさん)
現在は、コロナウイルスの影響で、入国が一時的に停止状態にあるが、本来ならばすでに1000人を超す特定技能の外国人が日本各地の農家で働いている予定だったという。
「農業はIT化、効率化を図ることで、もっと楽しい産業になるはずです」と言う上野さん。YUIMEは人材派遣にとどまらず、人材配置プランや事業拡大などコンサルティング事業も行っており、全国の農家から依頼が相次いでいる状態だ。私たちの生活の基盤となる第一次産業。その未来に希望をともす事業であることは間違いない。今後の展開が楽しみである。
(吉田由紀子/5時から作家塾(R))
※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら
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March 18, 2021 at 04:00AM
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