食卓に「近所のスーパーマーケット産の野菜」が並ぶ日も近いかもしれないーー。
ヨーロッパ中心に事業を展開するドイツの農業ベンチャー「infarm(インファーム」が2月下旬、JR東日本とパートナーシップを結んだことを発表した。
インファームは、栽培スペースを垂直に積み上げる「垂直農法」で、スーパーマーケットや飲食店の店舗内で野菜を栽培し、販売している。
日本は、アジア初の拠点となる。夏以降、JR東日本の子会社である高級スーパー「紀ノ国屋」でサービスを展開するという。
究極の地産地消
スーパーマーケットに並ぶ野菜が、どれほどの距離を移動してきたか想像したことはあるだろうか。遠方地からトラックで、時には地球の裏側から飛行機で運ばれる野菜ーー。長い輸送の中で、大量の二酸化炭素が排出され、野菜の鮮度も失われてしまう。
なんとか、生産地と消費者の距離を短くできないか。
そこでインファームが考えたのが、消費者の一番近く、都市のスーパーマーケットや飲食店に「農場」を作るというアイディアだった。
「都市を自給自足にしていこう」。2月下旬に「TOAワールドツアー」のため来日した、インファームの創業者であるエレズ・ガロンスカさんは、自社のビジョンを力強く語った。
同社は気温や湿度、照明が管理された「スマート栽培ユニット」を独自に開発。スーパーマーケットの売り場内などで、レタスやハーブなどの野菜を栽培し、販売している。現在、栽培可能な野菜の種類は約70種類にも及ぶという。
垂直農法に加えて、「水耕栽培」と呼ばれる、土を使用しない栽培方法を採用している。土を使った通常の農業と比べて、必要農地面積は99%、肥料は75%、水は95%も削減できるという。
野菜の成長は、遠隔のコンピュータによって24時間体制でチェックされる。各植物から収集した膨大なデータに基づいて、AIがサイズや味、食感、栄養価などを最大限に引き出せるよう条件をコントロールし、最適な収穫時期を判断する。
室内での栽培のため、害虫の影響を受けることもなく、農薬を使う必要もないのだという。
「フレッシュな美味しさ」と「安心安全」、そして「環境への負荷軽減」が、インファームの売りだ。
インファームは現在、世界7カ国の店舗等に600以上の「スマート栽培ユニット」を設置している。ドイツのスーパーマーケットチェーン「METRO」や「EDEKA」、イギリスの「マークス&スペンサー」をはじめとする大手スーパーと提携を結ぶ。
「スマート農業」は世界の食料問題を解決していけるか
2019年に77億人の世界人口は、2050年には100億人近くに達すると予測されている。人口増加に伴い、2050年までに世界の食料需要量は2010年比1.7倍となるという。限られた資源の中でいかに食料を供給していくかが、喫緊の課題となっている。
また、高齢化と人口減少が進む日本では、農業の担い手不足も深刻な課題だ。2019年における農業就業人口の平均年齢は67歳。2010年には260.6万人だった農業就業人口は2019年、168.1万人にまで減少した。
そんななか、テクノロジーによって農業の効率化を図る「スマート農業」は、次世代の農業として期待が高まっている。日本でも、スプレッド社などが2018年に国内最大級の植物工場を建設するなど、スマート農業に取り組んでいる。
2020年、日本のスマート農業市場に新規参入するインファームだが、国内展開にどのような展望を持っているのだろうか。
インファーム・ジャパンのマネージングディレクターである平石郁生さんは、「店舗内で野菜を栽培する」というインファーム独自のサービスに自信をのぞかせる。
「我々の他社と違う決定的な強みは、スーパーマーケットやレストランの中で野菜を栽培しているという点です。お客様は、野菜が収穫されたり、苗が補充されたりする様子を、目の前で見ることができます。それがインファームの野菜への安心や信頼に繋がると考えています」
一方で、日本市場ならではの課題もあるそうだ。日本は、欧米に比べて、インファームの主力商品であるハーブ類の消費が少ない。今後は、日本の食文化にあわせて、栽培する野菜を拡充していく予定だという。
欧米では「無農薬でフレッシュ」と、高く評価されているというインファームの野菜。日本の消費者は「スーパーマーケット産の野菜」をどのように受け入れるのだろうか。今後の動向に期待したい。
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March 12, 2020 at 08:46AM
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スーパーマーケットの中に「農場」を。ドイツの農業ベンチャー「インファーム」が日本上陸 - HuffPost Japan
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