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Friday, October 14, 2022

<1>ICT活用 「もうかる農業」へ - 読売新聞オンライン

 農業が大きく変わろうとしている。担い手の高齢化や後継者不足などの課題を解消し、収益力をアップさせるため、ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用したスマート農業が注目を集める。農業を魅力ある産業として次世代につなぐために、県内でも様々な試みが重ねられている。

 技術革新で「もうかる農業」を目指す動きが進む。産官学の知識や技術を集めたオープンイノベーションの拠点「とくしまアグリサイエンスゾーン」は、スマート農業の技術開発、人材育成をリードする役割を担う。

 アグリサイエンスゾーンは、2016年4月に県内初の農業系学部として徳島大に生物資源産業学部が開設されたのを機に、県と大学が連携。県立農林水産総合技術支援センターがある石井町に、大学が施設を設け、農業関連企業を誘致した。

 農業資材販売会社「誠和」(栃木)もその一つ。栃木県でICTを活用したトマト栽培を実践してきた誠和は、西日本の拠点として阿波市に関連会社「トマトパーク徳島」を設立。軒高5.5メートル、広さ約1ヘクタールの大型ハウスを構え、20年8月から、実の大きい品種のトマトを業務用として育てている。

 コンピューターで温度や湿度などが徹底管理されたハウス内は工場のようだ。70センチほどの高さの位置に栽培レーンが並ぶ。レーンには約3万6000本のトマトを植えたポットが置かれ、養液はチューブで直接、根元に与えられる。

 設置した2基のセンサーなどが常にハウス内の温度や湿度、二酸化炭素濃度などを感知。日照量などに応じ、ハウス内がトマトの光合成を促す最適な環境に保てるよう、カーテンや天窓は自動で開閉される。農場長の猿山裕之さん(32)は「二酸化炭素も施設内で作ってハウスに送り込む」という。

 この環境制御技術を使い、通常の2倍近い収穫量を目指す。目標は10アールあたり50トン。猿山さんは「農作業の無駄を省き、収益を上げると期待されている技術」と語る。

 県立農林水産総合技術支援センターは20年7月から、環境制御技術を伝える「施設園芸アカデミー」を始めた。30年以上トマトを栽培している阿波市の岡本秀生さん(56)は、自分のハウスに導入した環境制御装置を使いこなすため、開講当初からアカデミーで学び直している。

 アカデミーでは実地の指導も行い、岡本さんは、枝切りや質の良い実を育てるために他の実を間引く摘果のアドバイスを受けた。岡本さんは「物価高騰などの不安もあったが、収入が増えて息子に後を継ぐように勧めることができた」と喜ぶ。

 収穫は以前の1.5倍。長男の真輝さん(26)もアカデミーで学び、岡本さんを手伝う。真輝さんは「経験や勘に頼るのではなく、客観的な日照量などから学べるので理解しやすい」と話す。

 県と徳島大は、収穫に悪影響を与える「トマト黄化葉巻病」のウイルスを媒介する、体長1ミリの害虫タバココナジラミの発生拡大を予測するアプリを開発。今年9月からトマトパーク徳島で実用化への研究を始めた。

 県農林水産部の平井琢二部長は「産官学の好循環ができた。研究の成果を農家に還元し、関西の市場に近い徳島の強みを生かして、さらに企業誘致を進めたい」と強調した。

 京阪神地域に豊富な食材を提供してきた徳島は「関西の台所」とされる。2020年のニンジンの収穫量は全国3位の4万9700トン、ブロッコリーが5位の1万1300トン。レンコンは3位の4840トン。大阪中央卸売市場への野菜販売額は114億円で北海道に次ぐ2位だった。

 一方、農業が主な職業の基幹的農業従事者は20年が1万9186人で、10年間で8846人減り、70歳以上が半数以上を占めた。

 

 読売新聞大阪本社は、農業や食に関わる人々を応援し、持続可能な未来を考える「農プロジェクト」に取り組んでいます。

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