福島県の基幹産業の農業は東京電力福島第1原発事故発生から11年半が過ぎた現在も、農産物価格下落などの爪痕が残る。農林水産省によると、県内の2020(令和2)年の生産農業所得は765億円で事故前の水準に回復しておらず、全国順位も落ちたままだ。農家の所得向上には、産地間競争に負けないトップブランドの育成や販路開拓、担い手育成など幅広い対策が欠かせない。
生産農業所得は農業産出額から経費分を差し引いた数値で、近年の推移は【グラフ】の通り。2010(平成22)年以前はおおむね1千億円台だったが、2011年に急落。その後は浮き沈みがあるものの、ほぼ横ばいだ。対照的に全国の生産農業所得は原発事故発生後に増加している。県内の順位は原発事故発生前の2010年は6位だったが、2020年は16位だった。
県の担当者は①価格が下落し戻っていない品目がある②営農休止となっている農地面積が広大である-点を所得が上向かない要因とみる。
農産物価格は複数の品目が事故発生前の水準に戻っていない。農水省の流通実態調査によると、全国平均との価格差の割合はコメがマイナス6・7%(2020年度)、モモがマイナス9・3%、牛肉がマイナス9・4%(いずれも2021年度)となっている。
価格が回復しないのは、事故発生直後のような県産品への忌避感が主な理由ではなく、流通構造の中で価格が下がったまま固定化したため-との見方がある。他県産を上回る魅力的なブランドの開発や国内外の販路開拓、流通実態を踏まえた「マーケットイン」の生産体制づくりが重要となる。
原発事故で避難区域が設定された12市町村で営農休止となった農地約1万7300ヘクタールのうち、再開したのは3月時点で4割の約7300ヘクタールにとどまる。県は2025年度までに休止面積の6割に当たる約1万ヘクタールで再開させる目標を掲げる。長期間の避難による担い手不足が深刻化し、就農者確保やスマート農業の普及促進など幅広い後押しが求められる。
就農者確保は全県的な課題だ。県内の2021年度の新規就農者は233人。県は2030年度までに年間340人以上に増やすとしている。3月に就農した鮫川村の園芸農家小松孝次さん(36)は規模拡大のための設備投資の支援を求める。「収益拡大を目指したい。農機具の貸し出しや融資などの支援制度が充実するとありがたい」と話した。
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農家に限らず、生活を豊かにするには所得向上が不可欠だ。厚生労働省の2021年の賃金構造基本統計調査によると、フルタイムで働く人の本県の平均月給は26万9500円で全国32位だ。前年から2200円上がったが、全国平均の30万7400円より3万7900円低い。
福島民報社が夏の参院選に合わせて実施した電話世論調査で、県内の有権者に物価高騰で求める政策を尋ねたところ、「労働者の賃上げ対策」が31・6%で最多となった。コロナ禍や物価高騰で家計負担の厳しさが増している。
月給の低さは、若い世代が県外に流出する一因だと県の担当者は説明する。経済的な理由で結婚や出産に二の足を踏んでしまう側面もあり、少子化傾向にも影を落とす。
地方自治に詳しい高崎経済大の岩崎忠地域政策学部教授は、月給を上昇させ、地域経済を活性化させるには企業誘致が有効だと指摘。「企業が進出すれば人口が増え、地域経済が循環し、月給や賃金上昇につながる。積極的に誘致に取り組む意義はある」とした。
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September 19, 2022 at 08:20AM
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