国内トップクラスの加温ブドウの産地である島根県。その主産地である出雲市は、生産者数や栽培面積の減少により出荷量が落ち込む厳しい状況が続いている。行政やJA、生産者らがスマート農業の実証実験で作業の効率化を確認するなど、困難に立ち向かおうとする現場を追った。【松原隼斗】
小粒で甘さが人気の「デラウェア」や、皮ごと食べられる「シャインマスカット」は、県のトップブランドである「島根ぶどう」として全国に出荷されるだけでなく、海外にも輸出されている。だが、県内のハウスによる加温栽培面積の8割を占める出雲市は、生産者の高齢化が課題となっている。
高齢化 生産者40年で3分の1に
JAしまねなどによると、同市でブドウを栽培する「JAしまね出雲ぶどう部会」のメンバーは、1980年の956人をピークに、2021年は335人に減少。栽培面積も約302ヘクタールから約117ヘクタールに激減した。かつて5000トン以上だった出荷量は1017トンに落ち込んでいる。ハウスの温度管理や水やりなど生産者の負担の大きさが背景にあるとみられ、対策が急務となっていた。
先端技術を駆使したスマート農業で産地の再生を図ろうと、県や市、JAなどが「出雲加温栽培ぶどうスマート農業実証コンソーシアム」を結成。ハウス内の温度などをスマートフォンで確認できる「ハウスモニタリングシステム」、温度変化に連動してハウスを自動で開閉する「自動換気システム」、自動で水と肥料をまく「養液土耕(ようえきどこう)システム」を、同市西園町の浅津英雄さん(44)のハウスに設置した。
浅津さんの畑は7カ所に点在しており、ハウスの換気や水やりの手間に悩まされてきたという。天候に応じてハウスの開閉が必要で、「一日中駆け回らないといけない時もあった」と言う。
負担軽減 きめ細かな作業に注力
21年に収穫するブドウの栽培からスマート農業の実証実験を開始。浅津さんは作業時間や収量などのデータを細かく記録し、温度管理にかけていた時間は一般的な作業時間と比較して61%、肥料や水やりの時間は80%も削減できた。適切な温度管理などで出荷時期が早まり、デラウェアの1キロ当たりの平均単価が前年の1520円から1676円に上昇するなどの成果も確認された。
省力化した時間は、不要な粒を間引く作業や種無しブドウにするためのジベレリン処理という、栽培の「核」になる作業に充てることができたという。JAしまね園芸販売課の槙野直人さんは「きめ細かい作業に手が入り、品質の向上につながればお客さんも喜んでくれる」と期待を込める。
高価な機材をどのように普及させていくかが今後の課題だ。プロジェクトの中心を担った市は、県やJAと協力して見学会を開くほか、補助事業を活用して普及に取り組む構え。市農業振興課の陰山真樹主査は「産地をあげて仕掛けを作りたい」、浅津さんは「ブドウ生産者の中では若い方なので、これからの世代として(産地を)守っていく」と力を込めた。
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May 17, 2022 at 02:00PM
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ハウス換気、水やり自動化…「島根ぶどう」切り札はスマート農業 - 毎日新聞 - 毎日新聞
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