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Thursday, February 3, 2022

農業施設の除雪 共助で命と産地守ろう - 日本農業新聞

 施設園芸の産地化が雪国でも進む中で、農業用施設の除雪の負担をどう解消するかが課題になっている。農家の命と産地を守るために、除排雪作業を個人任せにするのではなく、地域ぐるみで担う体制づくりを進めよう。

 日本農業新聞は、北海道開発技術センター、鳥取大学と共同で北海道のJAに農業と除雪について昨年夏、調査を実施。営農部長らに依頼し70JAから回答を得た。2020~21年の冬場は、農業関連施設の破損、倒壊が約4割で起こった。このうち特に「ビニールハウスの破損、損壊」があったのは27JAだった。

 除排雪作業での人身被害では、複数回答で「屋根上からの転落による死傷」(8JA)「はしご昇降時の転落による死傷」(5JA)「除雪機の誤作動による死傷」(4JA)などが発生。一方で「詳細を把握していない」との回答も5割ほどあった。

 今冬も農業被害が出ている。昨年12月25日からの大雪などによる農林水産関係の被害を農水省が、今年1月13日にまとめた。調査中の段階としながらも16府県から報告があり、農業用ハウスの倒壊・破損などが412件、畜産用施設の破損が26件といった状況だった。北海道でも、ハウスなどが被害を受けた。

 農業用施設の除雪は家屋と同様に「自己責任」と考えられがちだ。北海道富良野市などを昨年襲った豪雪では、食事も取らずに、明け方からひたすら除雪をしていた農家もいた。農業用施設の除雪では、ハウスの形状などから家屋とは異なる負担がある。

 行政を中心に、農業での除排雪作業の状況や作業中の事故の実態について、十分に把握することが急がれる。

 農業法人などで従業員らが除排雪作業をする場合の安全確保は、経営者の責務である。農業者自身と併せて、ヘルメットや安全帯、命綱など従業員の安全対策をさらに重視する必要がある。

 先の調査では、冬場に必要な農作業が始まった経緯として「収入増のための新規栽培の開始」が最も多かった。農業所得の増大を目指し施設園芸などに取り組んできた結果、除雪が必要になったことがうかがえる。水田転作で政府は、野菜など高収益作物への転換を推進する。

 農業者の高齢化や人手不足が今後も進展し、規模拡大は進むとみられる。このため除雪の負担が一層増えることが想定され、事故の発生リスクも高まることが懸念される。農業者の命を守ることはもとより、食料生産の増大と安定供給に向けて産地を維持・発展させるためにも負担軽減と事故防止の対策が重要だ。

 自助だけでなく地域・産地での共助の体制づくりと、行政による支援が求められる。

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