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Sunday, August 8, 2021

<ひと物語>農業で人の輪広げる 「見沼田んぼ」で露地野菜を栽培・丸山恵美子さん - 東京新聞

農作業中の丸山恵美子さん=さいたま市見沼区の「オーガニック・ハーベスト丸山」で

農作業中の丸山恵美子さん=さいたま市見沼区の「オーガニック・ハーベスト丸山」で

 七月、さいたま市内で予定されていた東京五輪の聖火リレー。新型コロナウイルスの感染拡大で同市内での公道走行は中止され、ランナーとして氷川参道(同市大宮区)を走るはずだった丸山恵美子さん(53)=同市見沼区=の「緑の風を感じて走り、沿道で応援する人たちに私の野菜を持ってもらう」という夢はかなわなかった。

 市内の「見沼田んぼ」で、夫と農園「オーガニック・ハーベスト丸山」を経営する丸山さん。聖火ランナーになったのも都市近郊農業のPRが目的だった。有機肥料と低農薬にこだわった四季折々の露地野菜を収穫、販売している。さいたま市という大消費地のすぐそばに広大な畑が広がっていることはあまり知られていないと感じるが、輸送などのコストや環境負荷を省いて新鮮な野菜が届けられるメリットは大きい。「コミュニケーションを取りながら販売できるし、即売会などに出ると並べた先から売れていく。お客さまと距離の身近さを感じられます」と手応えを語る。

 北本市の農家に生まれ、両親が畑で働く姿を「かっこいい」と感じて育った。中学生のころ、青年海外協力隊員として農業で途上国に貢献したいと夢を抱き、高校卒業後は東京農大に進学。海に近い地域でも育つ耐塩性植物などを研究した。

 四年生のころ、協力隊として派遣予定だった国で、農業指導をしていた先輩がテロに巻き込まれて亡くなった。心配した親族の許可が得られず、協力隊への道は断たれたが、国際農業者交流協会の研修生として一年間スイスに滞在。酪農、果樹、野菜とワインやチーズなど食品加工も手掛ける複合経営の農家で、現在につながる基礎を学んだ。

 帰国後、農家の息子で旧大宮市職員だった夫の文隆さん(57)と「いずれ就農する」と約束して結婚。子育て中、庭で育てた野菜をママ友に配ると「おいしい」と評判になった。子どもたちのために畑でジャガイモ収穫体験を企画すると、口コミで二百人集まったことも。ニーズと手応えを感じ、二〇〇七年ごろから本格的に農園経営に乗り出した。文隆さんも退職し、二人でのスタートとなった。

聖火リレーの代替イベントではトーチに火をともし笑顔があふれた(丸山さん提供)

聖火リレーの代替イベントではトーチに火をともし笑顔があふれた(丸山さん提供)

 自宅から少し離れた見沼田んぼに、露地野菜の栽培に適した約一ヘクタールの土地を借りた。販売ルートは近くのスーパーに日参して開拓。地場産野菜コーナーを設けてもらい、徐々に認められて農地面積も拡大。経営も軌道に乗った。現在はコロナ禍で休止しているが、小学校や中学校で農業体験授業もしている。

 聖火ランナーに選ばれた直後の昨年一月、卵巣がんが分かり、すぐに手術を受けた。「農業が好きで好きで、環境も整ったのにできない。絶対に生きてやる」とつらい抗がん剤治療にも耐えた。今後は原点となったスイスなど、欧州からの農業研修生を受け入れるのが目標だ。さらに「都市部の方に来てもらい、同じ空気を吸って見沼田んぼで体験農業をしたい」と農を介してのコミュニティーづくりへと夢は続く。(前田朋子)

<まるやま・えみこ> 1968年4月生まれ、北本市出身。東京農大で知り合ったドイツ人留学生と親友になり、独語も堪能。一時は国際農業者交流協会で来日視察団の通訳も務めた。2児の母で長男も大学農学部で農業を学ぶ。オーガニック・ハーベスト丸山の野菜は大宮高島屋(さいたま市大宮区)、ヤオコー盆栽町店(同市北区)、マミーマート南中野店(同市見沼区)などで販売。

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