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Friday, August 20, 2021

復活した熱帯低気圧が 台風12号となって沖縄の南海上へ 記録的な大雨となった西日本への影響は(饒村曜) - 個人 - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース

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台風12号と思われた熱帯低気圧

 令和3年(2021年)8月15日(日)9時、気象庁はマーシャル諸島の熱帯低気圧が、24時間以内に台風へ変わる見込みと発表しました

 熱帯低気圧の存在する海域は、海面水温が台風発達の目安である27度より高い海域で、台風発生後も、発達しながら西へ進み、20日(金)には強い台風として日本の南に達すると思われれていました。

 ところが、熱帯低気圧は発達せず、それどころか、一時はっきりしなくなりました。

 しかし、8月20日15時になって熱帯低気圧が復活し、沖縄の南海上にやってきました。

 気象庁は、再び、この熱帯低気圧が発達し、24時間以内に台風となって沖縄に接近すると発表しました(図1、タイトル画像参照)。

図1 発達する熱帯低気圧の予報と海面水温(8月20日18時)
図1 発達する熱帯低気圧の予報と海面水温(8月20日18時)

【追記(8月21日6時)】

 熱帯低気圧は、8月20日21時に台風12号に変わりましたので、内容を一部変更しました。

 熱帯低気圧が存在する海域の海面水温は、台風が発達する目安となる27度を大きく上回っていますが、あまり発達することなく沖縄近海を通って東シナ海を北上し、東シナ海で弱い熱帯低気圧に衰えて西日本へ接近という予報です。

 しかし、これは台風の風についての話です。

 活発な積乱雲を伴っており、多量の雨を降らせる懸念があります。

 しかも、タイトル画像にあるように、熱帯低気圧の北側には発達した積乱雲の塊がいくつかありますので、西日本は、熱帯低気圧か台風が接近する前に、この積乱雲の塊によって豪雨が降る懸念もあります。

台風12号の発生

 沖縄の南海上に接近してきた熱帯低気圧が台風となりました。

 令和3年(2021年)で12個目ですので、台風12号です(表)。

表 台風の発生数・接近数・上陸数
表 台風の発生数・接近数・上陸数

 令和3年(2021年)は、これまで、ほぼ平年並みの発生数、接近数、上陸数となっています。

 ただ、この台風12号は、8月としてはちょっと珍しい現象です。

 秋が進んでくれば、太平洋高気圧の勢力の南への張り出しが弱くなり、太平洋高気圧の南縁に沿って、台風や熱帯低気圧が中部太平洋から日付け変更線を越えて西進することがあります。

 しかし、8月は太平洋高気圧の勢力が強く、太平洋高気圧の南縁を通って西進する台風は少なく、むしろ、太平洋高気圧の中での発生し、ゆっくり北上してきたり、迷走する台風が多くなります。

 令和3年(2021年)の太平洋高気圧は、みかけより弱いのかもしれません。

 昔、台風の進路について統計調査をしたことがあります。

 これによると、8月にフィリピンの東海上にある台風が沖縄の南海上に北西進してきた場合は、向きを北に変えて沖縄本島近海に達する場合と、そのまま北西進して台湾付近に向かう場合があります(図2)。

図2 台風の平均経路図(8月)
図2 台風の平均経路図(8月)

 今回の台風12号は、前者、北上して沖縄本島近海に達し、西日本に接近するという予報です。

西日本は記録的な豪雨のあと

 令和3年(2021年)は、8月11日以降、梅雨前線をおもわせるような前線が西日本から東日本に停滞し、九州では1000ミリを超える記録的な雨が降っています(図3)。

図3 10日間(240時間)降水量
図3 10日間(240時間)降水量

 東日本でも800ミリ以上という記録的な雨が降っており、西日本から東日本の各地では、土の中の水分量が非常に多くなっており、少しの降雨が加わるだけで、大規模な土砂災害はが発生しやすくなっています。

 1000ミリを超えるような雨では、表層崩壊な頻発するだけでなく、土砂災害警戒情報の対象外である深層崩壊や地滑りまで発生す懸念がしばらく続きます。

 こんな状況下での台風12号の接近です。

 大災害のおそれが非常に高いので、今後の台風情報に注意し、厳重な警戒をしてください。

タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。

表の出典:気象庁ホームページ。

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