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Friday, August 7, 2020

調査が示したJAの存在感 商工業と農業で「地域ブランド」を 全国商工会連合会 森義久会長【緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~】 - 農業協同組合新聞

JAの活動:緊急企画:JA対話運動~コロナ禍での協同~

地方において、中小の商工業者と農業者は相互補完の関係にある。主要産業である農業が衰退すると、地方経済も縮小する。全国商工会連合会の森義久会長は、JAグループの「組合員調査」の取り組みを評価するとともに、コロナ禍のもと、農商工の連携による新たな時代を切り拓こうと呼び掛ける。

全国商工会連合会 森義久会長全国商工会連合会 森義久会長

――JAグループは組合員との絆をより強めるための対話運動として、平成30年から1年かけて「組合員調査」を行いました。JAグループの調査の取り組みをどのように評価されますか。

地域が基盤で共通性
政府による農協改革が契機ではあったが、組織を挙げて自己改革に取り組まれていることは大変意義深い。特にJAグループの正・准組合員606万人、全員を対象とした調査を実施したことは驚嘆に値する。また調査手法が、原則、JA役職員の直接訪問・対面による調査票の配布・回収と伺い、調査にかけるJAグループの本気度を感じました。

「組合員調査」は、組合員の生の声を聞き、その声に応えるための事業立案や組織全体のかじ取りを行うために重要な調査であり、JAグループに対する現時点での純粋な評価を得ることであると言えると思います。私自身、平成30年に全国商工会連合会会長に就任した際、「会員あっての商工会」「商工会の会員になってよかった」と思っていただける組織づくりに取り組むことを明言し、47都道府県商工会連合会に直接足を運び、それぞれの地域の実情や課題をヒアリングしました。全国商工会連合会への期待と厳しいご指摘もいただいたところだが、その声を踏まえ、「商工会プラン2019」を示し、商工会組織として進むべき方向性を示すことができました。

商工会は商工業者のための組織、JAは農林業生産者の組合という違いはあるが、地域に根差した組織、地域あっての組織ということに違いはない。調査を通じて得られた声を自己改革に活かしていただきたい。

――調査結果についてご意見をお聞かせください。

調査結果に言及する前に、組合員調査を実施した事実についても評価をしたい。JA役職員が一丸となって調査に取り組んだことは、例えば、疎遠になっていた組合員との接点づくり、改めてJAの事業を説明する機会の創出など、組合員とのコミュニケーションが図られたのではないかと憶測します。組合員の意見を踏まえた組織改革を実行していく姿勢は、JAのPRにもつながったはずです。

70年超の活動の成果
調査結果については、JAグループと同じように全国にまたがる組織を預かる立場として評価させていただく点と、懸念点を挙げたい。まず、評価させていただく点として一つ目は、組織の根幹にも直結するJAの必要性についての問いに、組合員の9割超が肯定的に回答したことです。70年を超えるJAの歴史と、食と農を基軸として地域に根ざした協同組合として、助け合いの精神のもとに、持続可能な農業と豊かでくらしやすい地域社会を実現したいとの理念のもとに活動された成果が回答に表れていると言えるのではないでしょうか。

二つ目は、准組合員のJA事業の利用制限についての問いに、約9割の組合員が制限しない方がよいと回答したことです。協同組合は、一人ひとりの農業者・森林業者・漁業者などの中小・小規模事業者により成り立っており、そうした人たちが相互扶助の精神のもと、連帯し助けあい事業を実施しています。会員一人ひとりによって成り立つ商工会と同様です。農協改革の中で准組合員問題が論じられているが、組合員調査の結果、組合員約9割の意見をないがしろにすることはできず、重要な判断材料とすべきだと思います。

――コロナ禍は、国民の食糧確保・農業の持続の必要性を改めて教えてくれました。特に大都市への人口集中は地方の経済・社会の疲弊を招いています。地域(地方)のあり方、価値についてどのように考えていますか。

新型コロナウイルスの感染拡大で、今後厳しい経営を強いられることが予測されている業界として「BEACH」という言葉が広まっているそうです。ブッキング(B=予約サイト)、エンターテインメント(E)、エアーライン(A=航空業界)、カジノ・クルーズ(C)、ホテル(H)。それらの業界は生活に潤いを添えるサービスを提供しています。しかしながら、古くから言われる衣食住に関係する業種・業界も厳しい状況に置かれており、改めてその必要性に目を向けることも重要です。

先日、新型コロナウイルスの影響に加え、大雨で甚大な被害を受けた熊本県の球磨村、芦北町の被災状況の確認と激励に伺いました。商工業者の被害は言うに及ばず、予想以上に農林漁業者の方の被害も大きいものでした。新型コロナウイルスで飲食店の休業が相次ぎ需要の減少、価格低下によって食材等の廃棄や処分が大きな負担となり、いくつもの支援サイトが立ち上がりました。全国商工会連合会でも、「ニッポン全国お取り寄せ掲示板」にて販路開拓の支援を行っているところです。

食と農は不可分の関係にあり、国内生産が縮小すれば食の不安は増大します。食料自給率37%(2018年度、カロリーベース)の日本にとって、国民の食をどのように守るか考えざるを得ない事態とも言えます。今、改めて生産者に目を向け、消費者一人ひとりが農林漁業者を支える必要があります。

一方で、新型コロナウイルスの影響で新しい価値観やチャンスも生まれていのではないでしょうか。人口が密集した大都市の脆弱性が露呈し、東京や大阪ではロックダウン寸前まで追い詰められた。リモートワークやIT化の進展により、大都市から地方へといった居住志向の変化は今後も続くことが予想されます。また、人々の価値観や行動は変わってくる可能性もあり、これまで地方の弱点とされていた人口、インフラ、自治体の財政力、雇用が解消される可能性も出てきました。

平常時では試そうとしなかったが、オンライン会議をやってみると「できる」ことに私も気づきました。人口減少、高齢社会、低成長の日本で、人々の価値観はお金やモノの豊かさから、生活や精神的な豊かさ、いわゆるQOL(Quality of Life)へシフトしつつあります。その時、特色ある商工業や農林水産業が根差している地域は、窮屈な都心より豊かに見え、地方の復権、地方の見直しにつながるのではないでしょうか。時代遅れだから、非効率だからと言った表層的な理由で地方の現状を捉えるのではなく、そこに強みや特色を探し、それを活かしていく取り組みが求められると思います。

――地域(地方)における商工業とJAの役割、全国段階も含め、両者の提携にどのように取り組まれていますか。

私自身、商工業と農林漁業のつながりが非常に重要だと意識したのは、2010年の口蹄疫の流行でした。農家が大きなダメージを受けると商工業にもダメージが波及します。一次産業に従事している方々の景気が商工業者にも影響することを肌で感じました。地域を支える中小・小規模事業者は業種ごとに切り分けて考えることはできず、一体であると考えるきっかけとなりました。

私は地元ではJAの組合員でもあり、日ごろから指導をいただきながら、商工会とJAが一緒に何かできないかと考えていました。地元で我々は、JAや農家と朝晩のつきあいをしています。連携はその延長です。

JAグループと協定
その一つの形が、2017年1月に鹿児島県商工会連合会とJAグループ鹿児島が連携して開催した「商工会まるごと特産品フェア」です。視察に来られた山本幸三地方創生担当大臣(当時)からも高く評価をいただきました。各地のJAの組合員、商工会の会員に出店いただき「もっと早く連携すればよかったのに」との声もあり大きな反響がありました。

特にフェアを視察し、連携の意義にも理解いただいた山本幸三地方創生担当大臣(当時)の提案で、同年5月、全国商工会連合会、日本商工会議所、全国農業協同組合中央会、全国森林組合連合会、全国漁業協同組合連合会の5団体で地方創生の包括連携協定に結び付きました。

職員の人事交流を
新型コロナウイルス、頻発する自然災害への対応が求められるなど、経済社会が大きく変貌していく現在、企業規模の大小にかかわらず、あらゆる業種の企業でその対応が求められてくるでしょう。中・小規模事業者と地域の発展のため、商工会は地域の他団体との連携を一層図り、対策に取り組んでいかなくてはならないと考えています。

今後は、これまで以上に農商工連携等による「地域のブランド化」を進めるとともに、連携によって知見を活かし、消費者に選ばれる商品やサービスの開発、ブラッシュアップに取り組んでいきます。その時に、商工会と手を携え、ともに考え、ともに動いていただけるのはJAだと思っています。

商工会とJAとの連携を組織としてさらに進めるため、お互いの若手・中堅職員の人事交流を実施していくのも一つではないかと考えています。商工会とJAの相互理解の促進、連携強化により、新たな時代をともに切り開いていきたいと考えています。

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August 03, 2020 at 02:00PM
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