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Sunday, August 30, 2020

農業から思う「コロナ後」 循環型社会 考えよう 木之内農園 木之内均 - 日本農業新聞

木之内均氏

 本来2020年は日本にとってオリンピックの年となり、心も経済も沸き立つような年となるはずだった。しかし神様は、楽しい事ばかり与えることはないと痛感する「コロナの年」となっている。

 新型コロナウイルスが流行し始めた今年の初めごろは、「3密」と言われても地方や農業にはあまり関係のないことだと思っていた。だが、交通網の発展した世界では地方も決して安心できない。地方に高齢者が多い点から考えるとむしろ要注意である。
 

大規模ほど影響


 私の経営する2カ所の農業法人でもさまざまな影響が出ている。阿蘇の観光地にある「木之内農園」では観光農園や直売を中心に展開しているため大きな打撃を受けている。しかし、山口県にある「花の海」では苗ものが中心のためホームセンターの好調に支えられて影響は小さい。また、観光部門もむしろ観光地でない地元地域中心のお客さまが多いことから、阿蘇ほど大きく影響していない。

 農業者の仲間も分野によって影響は大きく異なる。一般の市場を中心に展開している野菜農家などは、コロナよりも長雨や猛暑など天候による影響が大きいようだ。一方で、花き農家は社会情勢の波をもろにかぶって大打撃を受けている仲間もいる。

 細かく統計を取ったわけではないが、6次化を進め大規模法人化をしてきた農業界の先端を走っている経営体の影響が大きいように感じる。

 もともと農業は自然相手で台風など天候の影響を受けやすく、農産物相場も大きく変動し、年によっての差が激しいため、危機には強い体質を持っていると思う。畜産の世界では牛の口蹄疫(こうていえき)や鳥インフルエンザ、豚熱など、さまざまな感染症対策の対応をしてきている業界である。しかし、人の感染症や、その影響による世界的な経済の停滞となると正直手も足も出ないと感じる。
 

本当の幸福とは


 もちろんこのようなことは農業だけでなく、どの分野でも苦難は降りかかっている。近年大きな問題となっている地球温暖化により世界各地で起きている自然災害は、そもそも人口が増え、一極集中で大都市化が進み、大量生産大量消費で常に効率を追い続けてきた現代社会のひずみが現れているように思えてならない。

 確かに近代化により私たちの生活は便利になり世界中を旅行でき、さまざまな未知の経験をできる時代になった。しかしブータンの高い幸せ度数ではないが、人としての本当の幸福とは何か、もう一度考える機会を神様が与えているのかもしれない。

 私の経営する農業は大自然と共に営まれてきた産業だからこそ、その偉大さも怖さも十分に経験してきている。人は最後には自然に勝つことはできないと思う。だからこそアフターコロナの社会の在り方について「喉元過ぎれば熱さ忘れる」にならないように、持続可能で皆が幸せな循環型社会とは何か、それぞれの人が真剣に向き合い考える時ではないかと感じている。

 きのうち・ひとし 1961年神奈川県生まれ。九州東海大学農学部卒業後、熊本・阿蘇で新規参入。(有)木之内農園、(株)花の海の経営の傍ら、東海大学教授、熊本県教育委員を務め若手育成に力を入れる。著書に『大地への夢』。
 

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