4月27日、埼玉県熊谷市にある子ども食堂「熊谷なないろ食堂」に子どもの声が響いた。外壁が白と紺の平屋建て。運営するNPO法人「SK人権ネット」代表の山口純子さん(45)は、目を細め、弁当を手渡す。食材は地元の農家や青果市場などからの寄付で賄われる。
皆が顔見知り
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、子ども食堂の休止が相次ぐ。なないろ食堂は、屋内での食事提供から弁当の配布に切り替え、運営の継続を決めた。
なないろ食堂は2018年、子育てが一段落し、「人のためになるライフワーク」を探していた山口さんが、子ども食堂の運営者募集に手を挙げ、始まった。中学生以下は無料、高校生以上は200円で、白飯、おかず、デザートなどをビュッフェ形式で提供する。当初の月1回が、多くの子どもが集まり、半年後に月2回へ。それでも1回につき100人を超える人気で、月・水・金曜の週3回に増やした。
コロナ禍が深刻化し始めた3月、プレートに盛り付けて渡す形に変更した。その後、全国で子ども食堂の休止が相次ぐ中、山口さんは「給食がなくなると、困る人がいるに違いない」と考え、場所の提供はやめて弁当配布に切り替えた。
用意する弁当は1日50~60食で、足りない日もある。子ども食堂に頼る家庭が少なくないことを改めて知らされた。
市内に住む会社員の女性は仕事を終えた後、小学5年生と3年生の息子を連れて訪れた。「休校になって、3食考えるのも大変。ここのお弁当はいろんな野菜も入っていて、栄養が取れて助かる」と言う。市内の中学生は「妹と2人で留守番をしていて、週3回来る。お弁当はいつもおいしいよ」と食堂で友達とはしゃぐ妹を見守った。
看護師の中島光枝さん(45)は、息子の康介さん(8)と2人暮らし。「大人数で食卓を囲む環境を与えたい」と母子でやってくる。自身も食堂のスタッフから料理を教えてもらうなど「新しいつながり」を築けた。今は大人数で食べられないが、弁当を取りにくれば顔見知りに会う。康介さんもうれしそうだ。
食材は寄付で
食材は、農家やスーパー、青果市場などからの寄付だ。JAくまがやの直売所「ふれあいセンター箱田店」に作物を出荷する熊谷地区生産者部会も直売所を通じて旬の野菜を提供している。女ケ沢孟士店長は「地元の子どもに、地元の野菜を、地元で食べてもらえる。これがうれしいね」。
開設当初から米や野菜を寄付している農家の高島悟さん(56)も「子どもにこそ良いものを食べてほしい」と言う。「本来は子ども食堂など必要ない社会がいいに決まっている。国や行政がやるべきだと思うが、身を削って懸命に活動する山口さんを応援したい」
山口さんは、食堂を支える地域の人に感謝の気持ちを込め、毎月、来客数や子どもたちの様子、食事の写真を載せた報告書を渡している。食堂名には「いろいろな人が関わり、いろいろな環境の子どもに来てほしい」との願いが込められている。地産地消の輪も「なないろ」につながっている。(鵜澤朋未)
<メモ>
NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」などが4月、子ども食堂を運営する35都道府県の231団体に行ったアンケートによると、休止は4割。従来通り「居場所」も提供しながら運営しているのは1割で、残りの5割近くが弁当配布や食材配布など形態を変えて運営している。その多くがなないろ食堂と同様、農家や小売店などからの寄付に支えられている。
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May 06, 2020 at 05:01AM
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[新型コロナ禍 農と食] 弁当が地域つなぐ 子ども食堂 継続へ奮闘 - 日本農業新聞
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