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Wednesday, April 15, 2020

農業基本計画 「足腰」鍛える政策を:社説 - 中日新聞

 農政の指針を示す「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定された。五年に一度の改定だ。コロナ禍なども背景に、官邸が主導する農業の大規模集約化、輸出振興偏重からの転換の兆しも見える。

 新たな基本計画は、カロリー換算の食料自給率を、二〇三〇年度に45%へ引き上げる目標を柱に据えている。一八年度には37%と過去最低に落ち込んだ。

 現政権は農産物の輸出を「成長戦略」の一つとし、「担い手」と呼ばれる地域の中核農家に農地を集約、大規模効率化で農家の所得を向上させ、自給率を引き上げるという戦略を採ってきた。

 ところが、農産物市場開放の嵐が吹き荒れる中、優良品種の開発を都道府県に義務付けた主要農産物種子法を廃止するなど、「国産」の不利になるような、ちぐはぐな政策を打ち出してきた。

 農業就業者は一五年の二百八万人から昨年は百六十八万人に減少した。このうちの約七割を、六十五歳以上が占めている。耕作放棄地は滋賀県の面積と同じくらいに広がった。

 「足腰」が弱っては、世界との競争に勝ち抜けるはずもない。生産基盤の強化こそ、焦眉の急である。そこで新基本計画は「経営規模の大小にかかわらず、生産基盤の強化を図る」旨、明記した。

 コロナ禍で物流が停滞し、海外依存へのリスクが顕在化したこともある。急きょ「新たな感染症への対応」として、「(海外依存の)この状況を速やかに解消し、生産基盤・経営の安定を図ることが重要である」などと書き込んだ。

 官邸主導の大規模集約化だけでなく、新規就農者を呼び込み、都市近郊や中山間の農地を守る地域政策にも力を入れるという。このような基盤強化政策こそが求められていたのではなかったか。

 農業者の側も、新たな道を模索し始めた。例えば大規模化が困難な都市近郊で農地を探し、新規就農する若い世代が増えている。

 都会のレストランと契約し、そのニーズに合わせた多種多様な食材を、日々少量ずつ速やかに送り込む−。都市近郊のハンディは、強みにかわる。

 都会の人に「週末農業」の場を提供するレクリエーション農園も増えている。自ら土に触れた消費者が、国産志向に目覚める効果もあるという。

 就農の仕方も、農地が生み出す価値も多種多様。育ち始めた芽を伸ばす、具体策を望みたい。

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