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Monday, March 9, 2020

草刈り、水路清掃…集落活動ピンチ 農業法人にしわ寄せ 離農・移転薄れる住民意識 震災被災地 - 日本農業新聞

法人で育てたキャベツを収穫する菊地組合長(左)と菅野さん(宮城県東松島市で)

 東日本大震災の被災地で、離農した住民らの意欲低下で草刈りや水路の清掃作業といった集落ぐるみの農地保全管理が危機に直面している。しわ寄せは農地を預かる農業法人に向かい、負担が増加。一部では水稲の収量減や、保全管理作業にかかる時間の増加などの課題が出ている。専門家は地権者らの農業理解の再構築の必要性を指摘するが、地元行政は有効な打開策を打ち出せないままでいる。(川崎学)
 

協力なく営農に支障 宮城県東松島市


 宮城県東松島市の洲崎・東名地区。多くの農地が津波による浸水被害に遭い、離農を余儀なくされた。高齢化や集団移転などで地元を離れた住民らの受け皿となってきたのが、2015年に法人化した農事組合法人・奥松島グリーンファーム。現在は水稲や大豆、キャベツを計93ヘクタールで生産する。理事11人のうちの4人と、従業員の菅野利樹さん(41)が農作業の中核を担う。

 同地区ではかつて、集落の農家が総出でけい畔の草刈りや水路の清掃作業をしてきた。しかし、菊地照夫組合長は「今では地権者150戸の協力が全然、得られない状況。負担は相当に重い」と嘆く。これまで3日で終わっていた作業が、少人数のために1週間に延びた。夏場の炎天下での作業は、高齢の理事の健康に危険が伴う。菅野さんは「人手不足で営農に手が回らなくなってしまう」と、将来を不安視する。

 農林中金総合研究所が市内の三つの法人に農作業を委託する地権者らにアンケートを行ったところ、9割に当たる256戸が集落の草刈りなどの共同作業への参加が「今、既に難しい」「将来的には難しい」と回答。法人が保全管理作業を担わざるを得ない実態が浮かび上がった。坂内久客員研究員は「住民の気持ちが離れると、営農ができなくなり、最悪の場合、集落崩壊につながる」と懸念する。
 

春の作付けに向け、従業員と農機具の点検をする佐藤代表(右)(福島県南相馬市で)

 
 

獣害加わり収量減 福島県南相馬市


 福島県南相馬市小高地区で、水稲を中心に60ヘクタールを作付けする紅梅夢ファームも農地の保全管理に頭を悩ます。佐藤良一代表は「長期間の避難で、元住民の農業への意欲が低くなった」と話す。法人が設立された15年は、地権者100戸のうちの半数以上が草刈りなどの保全管理作業に参加したが、翌年以降は減少。今では10戸程度にとどまる。

 同地区で水稲の作付けを再開できたのは1割に満たない。里山や荒れた農地にイノシシが出没し、法人が管理する農地の1割にも影響を及ぼし、「収穫が10アール当たり60キロほど減った」(佐藤代表)という。対策として農地周辺の80カ所に電気柵を設置するが、1カ所当たり毎月5000円ほどの費用が発生し、経営を圧迫する。

 福島相双復興官民合同チームが、県内の原発事故被災12市町村の農家にアンケートしたところ、営農再開の意向がない農家159人のうち約70%が、草刈りや水路の清掃などの地域共同作業に「参加しない」もしくは「できない」と回答した。同チームは「農業への関心が低下している地権者に、行政が対応できていない」と説明する。
 

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