調査は、農業集落を対象とし、寄り合いの頻度や議題、活動などを聴取するもので、60年以上の歴史がある。5年ごとに実査される。同省は自治体の個人情報保護条例により、調査に応じる住民の情報を自治体から得られにくくなっていることや、調査を行う人手不足を理由に、2025年の農林業センサス調査から廃止する方針を示した。
だが、調査は中山間地域等直接支払制度の集落連携への加算を設けるなど、政策の立案に生かされてきた。自治体や研究者が集落の情報や機能を把握したり、災害からの早期復興や防災を考えたりする際の基礎データにもなるだけに、調査は欠かせない。
「くらしと国土を守るため集落の全数調査を継続させよう」。研究者や市民ら有志が9月下旬に始めた署名活動は2週間で1000人を超えた。注目すべきは署名の多さと、署名した人のジャンルの幅広さだ。歴史、災害、環境、地理、教育、農村社会などの観点から多様な人々が、防災、環境保全、国土計画の立案に欠かせない重要な調査であると主張し、継続を強く求めている。
署名だけではない。日本農業経済学会、日本史研究会、農村計画学会、林業経済学会、NPO法人中山間地域フォーラムなど複数の学会や組織が、調査の廃止方針に対し、反対声明や要望書を出した。「学術的に看過できない重大な問題」「農業集落の実態把握は、研究上も行政上もますます重要」「長期的視点で提言しうる歴史学の貢献を不可能にする結果を招く」「村の歴史を消す」――。いずれの学会も、調査の廃止が農村にとって致命的な事態になると警鐘を鳴らしている。
同省の調査廃止方針に対し、これだけ各方面から反対の声が出ることは異例だ。管轄する統計部だけでなく、省全体で調査の継続に向けた改善策を検討する必要がある。
20年に策定した食料・農業・農村基本計画の一つの争点は、農村政策の体系化だった。田園回帰、半農半X、テレワークの普及、二地域居住など新たな潮流が生まれる一方で、ウクライナ危機や急激な円安による資材高騰が農業を直撃し、集落は今、岐路にある。
農村政策の根幹に関わる調査の廃止は、基本計画と明らかに矛盾し、農村政策の軽視につながる。手法を改善し、調査の継続を強く求めたい。
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October 07, 2022 at 03:07AM
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集落調査廃止方針 継続に向けて再考せよ - 日本農業新聞
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