5月、弘前市のリンゴ園の上を小型無人機(ドローン)がゆっくりと飛んでいた。ドローンには花粉を溶かした液体のタンクが搭載され、花粉をシャワーのように木に浴びせる。あらゆるものをインターネットでつなぐ「IoT」や人工知能(AI)、ロボットなど先端技術を活用した「スマート農業」の実証実験だ。
ドローンは、NTTグループで農業用ドローンの生産を手がける「NTTeドローン」製。わずか2分で果樹5本に4リットル分の花粉散布を済ませた。山崎顕サービス推進部長は白い花びらに黄色い花粉が付着しているのを確認し、「持続可能なリンゴ栽培を広げていきたい」と手応えを感じた。
国は2019年度から全国のモデル農場で実証実験を始めるなど、スマート農業の推進に力を入れている。県内でも弘前市のリンゴ園と同様、自治体や農協、メーカーが主体となって多様な品目で実験を行っている。
実験の背景には、農業従事者の慢性的な担い手不足と高齢化がある。農林業センサスによると、20年の県内の農家数は2万9022戸(法人含む)で、5年前より19%減少した。うち65歳以上の農家は約6割を占め、その大半は後継者を確保できていない。
県は、就農の希望段階から、実際に生産に取り組んだ後の段階に至るまで状況に応じた継続的な支援を行うなど、担い手確保に躍起だ。20年度の新規就農者数は、統計を始めた1988年度以降で過去最多の303人に増えた。
ただ、農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」は20年が4万8083人。集計方法は異なるため単純比較できないが、過去5年で1万人以上も減った。新規就農者だけでは担い手不足をカバーできていないのが現状だ。
ウクライナ危機では、小麦などの供給網が寸断され、世界的な食料不足が懸念されている。国内の20年度の食料自給率(カロリーベース、概算値)は37%にとどまる。有事に日本が食料を買い負けないという保証はなく、食料安全保障上の課題が浮き彫りとなった。
国は、農業の現場でも生産性向上が不可欠とみているが、高額な費用がネックとなっている。弘前市の実証実験で使われたドローンは、購入すれば250万円する。県によると、スマート農業の恩恵を受けやすい大規模農場と違い、中小規模農場は導入に足踏みするケースもあるという。
スマート農業に詳しい北海道大農学研究院の野口伸教授は「行政は担い手確保の支援と、スマート農業の推進に向けた技術開発の支援を両輪で進めていく必要がある」と指摘する。
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July 03, 2022 at 12:39PM
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