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Thursday, July 14, 2022

第50回毎日農業記録賞×聞く:工藤阿須加さん、農業始めて1年半「とにかく現場、そして体験を」 - 毎日新聞 - 毎日新聞

工藤阿須加さん 拡大
工藤阿須加さん

 俳優の工藤阿須加さん。映画やテレビドラマで幅広く活躍する一方で、山梨県で野菜栽培に取り組んでいることでも知られる。この道に踏み出した心の動きや、土と向き合う中で培われた意識を聞いた。

 ――農業を始めたのはなぜ?

 ◆「食」の大切さを伝えたかったからです。プロ野球選手だった父は常に「食」に気を使っていました。その環境で育ったので、「自分の体は食べたもので作られる」という意識は、幼いころからありました。僕もテニスをしていたこともあって、栄養士の方との交流がありました。

 ――踏み出したきっかけは?

 ◆2020年のコロナ禍です。家にいる時間が増え、自分と向き合う時間も増えた。「いつか農業をやりたい」という意識はありましたが、それがどんどん形になっていきました。今の立場で「農」や「食」の大切さを訴えても、実際に農業をしていないと説得力がないよな、と。現場で生産者の方と一緒に苦労をして語れれば、響くものは大きいだろうな、と。30代、40代、50代。いつからやるか。僕はちょうど30代に入るところでした。10年の差は大きい。「今がタイミングだ」と。決意してからは早かったですね。

 ――今、一緒に仕事をされている北杜市の農業の株式会社ファーマンの井上能孝さんとのとの出会いも大きかった?

 ◆やるからには「無化学肥料」か「無農薬」にこだわりたかった。僕の師匠である井上さんは「次の世代のために何を残すのか」を主眼にされています。安全な野菜を提供することもそのためですし、僕よりもさらに若い世代が魅力を感じる農業を目指すと言った。響きました。

 ――スタートから1年半ですね。

 ◆土に向かっている時は、フラットな気持ちになれる。そして、「自然はうそをつかない」。これが実感です。一例として、昨年は生トウモロコシを500株植えて約300本収穫しました。今年は3200株植えて1500~1600本収穫する計算でしたが、栽培面積が増えれば雑草の量も増え、作業も一筋縄ではいかなくなりました。自然は厳しい。「努力すれば必ず報いてくれる」という存在ではありません。

 ただ、いろいろありますが、「失敗」だと思ったことはありません。次のことを得られれば、それはよい「経験」だと思います。

 ――見える光景は変わりましたか。

 ◆消費者との関係を考えます。例えば、自分の栽培した野菜の価値が評価されて高い値段がつくことはありがたいですが、一方で、消費者には手が出にくくなってしまうかもしれません。「無農薬で作るって、偉いね」という言葉をいただくこともありますが、僕自身は「食」の大切さを伝えることを実践しているだけで、「偉い」とか、高収益を追うという意識はありません。

 確かに無農薬野菜は値段が高い。それを少し安くしてでも、安全な野菜を食べさせたいと考えるお母さんにもっと買ってもらえるようにしたい。自分がやっていることの意味はここにあると思います。

――皆さんは工藤さんの取り組みを理解してくれていますか。

 ◆海外にいる友人に「僕は農業をしている」と言うと、「すごい!」という返事が来ます。日本では「なんでやっているの。食えないじゃん!」という答えが来ることもあります。ただ、僕の考えや、就農に至ったプロセスを説明するとみんな納得してくれて、手伝いに来てくれます。

 ――日本の農業のミライをどうみますか。

 ◆後継者問題をはじめ、これ以上、衰退させてはいけない。ウクライナ戦争がもたらした食糧供給網の寸断を見て、その思いを強くしました。

 100%でなくてもいい。僕は今、「半農半芸」の生活ですが、そんな形でもいい。次世代の皆さんには、農業そのものを実感してほしい。どんなきっかけでもいいので、体験してほしいですね。現場に来て、土づくり、種まき、草むしりから、用具のかたずけまで。実際にやってみれば、見えてくるものは変わってきます。

 この仕事を始めて、関連するたくさんの業種の方とお話しする機会に出合いましたが、現場を想像していただくだけでは理解いただけないことがたくさんあります。とにかく現場。そして体験です。【聞き手・三枝泰一】

第50回毎日農業記録賞

 作文を募集しています。9月2日締め切りです。詳しくはホームページ(https://www.mainichi.co.jp/event/aw/mainou/guide.html

第6回全国高校生農業アクション大賞

ホームページ(https://www.mainichi.co.jp/event/nou-act/index.html

くどう・あすか

 1991年、埼玉県生まれ。東京農業大学で学んだ経験があり、2021年春から山梨県北杜市で就農した。ジャガイモ、長ネギ、レタス、ミニ白菜、ダイコン、生トウモロコシ、スイカ、メロンなどを栽培。農業生産者を紹介するテレビ番組のリポーターも務め、農業の魅力を広く発している。

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July 15, 2022 at 12:30PM
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