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Monday, May 23, 2022

ウクライナ侵攻3カ月…農業への影響は? 資材高騰止まらず 輸入→国産の置き換え課題 - 日本農業新聞

 24日でロシアのウクライナ侵攻から3カ月。事態が長期化する中、日本の農業や食料安全保障にも大きな影響が出ている。肥料や飼料をはじめ、ハウス資材など幅広い農業資材の高騰が止まらず、農業経営を圧迫する。輸入農産物も高騰しており、国産への置き換えが課題となる。

生産資材

 農業資材を巡っては、肥料・飼料とも原料の国際相場が高騰し、価格上昇が避けられない情勢だ。既にJA全農の4~6月期の配合飼料価格は最高値を更新。6月から供給する秋肥は、調達先国の変更などで必要量は確保できるが、大幅に値上げせざるを得ないとの見通しを示す。

 ウクライナ侵攻前から高騰していた石油製品の生産資材は、侵攻後も値上げが続く。防水シートなどを製造するメーカーは5月から1割値上げ。昨年7月に値上げしたばかりだが、原料のナフサの高騰が止まらないという。ハウスのフィルムやマルチを扱う別のメーカーも3月に値上げしたが、「さらに上げたい状況」と話す。

 ロシアはアルミ地金も世界有数の生産国。経済制裁でアルミ製品にも影響が出る。ハウス部材メーカーは4月、一部の製品を1割値上げ。別のメーカーも5月、台車や脚立などを1割値上げした。

 欧州から輸入する花苗の到着遅れも長期化する。ある種苗会社によると、カーネーションは最大で3週間程度遅れ。輸送費も上がっている。

輸入農産物

 小麦は、ロシアのウクライナ侵攻によって世界的に供給が混乱する懸念が高まり、シカゴ穀物相場(先物)が高騰。3月上旬には史上最高値を付けた。その後下落したが、インドが輸出規制をするなど自国の食料確保を優先する動きも見られ、相場は再び上昇する。国連など国際機関は、今後の食料危機に懸念を示す。

 国内では輸入小麦の政府売り渡し価格が大幅に引き上げられたことで、製粉各社で7月出荷分から小麦粉製品の出荷価格引き上げが広がっている。トウモロコシや大豆など他の輸入穀物も軒並み高止まりし、幅広い食品価格に影響を及ぼす。

 原油の代表的指標の米国産標準油種(WTI)は侵攻前の1バレル=90ドル台から一時130ドル台まで急騰。18日まで110ドル台で推移している。これに加え円安も輸入品の高騰に拍車をかけている。

 政府は4月末に物価高騰の緊急対策をまとめた。農業分野を含め対策を用意するが、高騰はいつまで続くか見通せない情勢だ。

 ■世界の食料需給に詳しい農林中金総合研究所・阮蔚(ルアン・ウエイ)理事研究員の話

 侵攻の影響で燃油や肥料の価格が高止まりしているため、連動する穀物価格も当面下がらないだろう。ロシアやウクライナの安価な小麦に頼っていた途上国の飢餓対策が大きな課題だ。一方、以前にも食料高騰はあったが、増産や豊作で値が下がると、各国とも自給の重要性を忘れ去ってきた。異常気象は今後も頻発し、影響範囲は戦争より広い。主食を輸入に頼らない体制を世界的に築くべきだ。

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May 24, 2022 at 03:03AM
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