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Monday, March 14, 2022

銀座の真ん中に作った水田が、スマート農業への第一歩 - 日本大学

「地方再生を目指して農家を強くする」ために、飯村氏がまず始めたのが、作物の売買の場づくりだった。農家の人がJA(農協)や中間業者を通さず消費者と対面で直販を行うことで、高品質の作物を、農業者はより高価格で、消費者はより低価格で売買することができる場「マルシェ」の提供を始めたのである。

「農業と関わって分かったのが、農家の方が自分で作物を売るのは難しいということです。自分の家の軒先に置いていてもそんなに売れませんし、ウェブサイトで通販してもなかなかお客さんはつきません」

その構想段階で、出品してもらうため農家に足を運んでも警戒された。当時は農作物を送らせて代金を支払わない通販詐欺なども多発していたからだ。

そこで飯村氏は実に斬新な発想をする。銀座の真ん中に水田を作ったのである。銀座中央通りから1本入った銀座一丁目の場所に、4台分の駐車場を借りてアスファルトをはがし水田にした。2009年のことだ。

1100人の農家にFAXとダイレクトメールなどで事業意欲を伝え、88人から2万5000円ずつプロジェクトに出資してもらった。現在のクラウドファンディングのようなものだ。水田にはその人たち全員の写真と連絡先を掲げ、直接注文できるようにした。

すると出資した農家を中心に、全国の農家の人が仲間を連れて見学に訪れた。これまでは農家に出向いても相手にされなかったのが、銀座に水田を作ったおかげで、全国の農家が名刺交換のために飯村氏を訪れるようになった。そこで知り合った人たちの莫大な名刺の束を持って、東京・有楽町駅前の交通会館にマルシェ用の場所を借りる交渉に行った。それが実り、2010年、「交通会館マルシェ」が開設されたのである。

このマルシェが現在でもGINZAFARMの柱の一つとなっている。常設の交通会館マルシェのほか、大手町、京橋、豊洲などの都心で定期的にマルシェを開いており、住宅地の施設やマンションなどで開催することもある。農家にとっては販売の勉強や新作PRの場所となっており、最近は自治体やメーカーが出品することも多いという。

銀座の水田はマスコミでも紹介され、それがシンガポール進出のきっかけとなった。記事を見たシンガポール政府から、都市農業ができないかと話が持ち掛けられたのだ。さらに3年後にはタイ政府から依頼を受けてタイにも進出。そして、これら海外での経験がスマート農業を目指すきっかけになった。

「シンガポールでトマト農場を運営しているため、定期的に日本から農場長を送り込むのですが、友人がいない海外の農場に1人で行って現地ワーカーと一緒に栽培を続けるのはメンタル的に厳しくて長続きせず、何人も農場長が替わったのです。そのたびに農場管理はゼロからやり直さなければならない。タイの方はさらに山奥だったので、同じことに悩みそうでした。それなら農場長ではなくてデータを取るロボットを送り込もうと考えて、データロボットを開発し始めました。実際に日本式の農業システムは海外の財閥や政府系ファンドから問い合わせが増えていた頃なので、大きなビジネスのうねりを感じていました」

それが2017年のことである。

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March 15, 2022 at 08:42AM
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