白石和之
【新潟】新米で子どもたちを笑顔にしたい。
昨年暮れ、「新米1万杯プロジェクト」を立ち上げた。家計を気遣い、お代わりを我慢するひとり親世帯の子どもたちに、代表を務める魚沼市の農業法人「百笑縁（ひゃくしょうえん）ファーム」で作ったコシヒカリの新米をおなかいっぱい食べさせたい。そう願ってインターネットで募った寄付は目標の100万円を超え、約280世帯に40杯分ずつの米を贈った。
東京都大田区生まれ。20代の初め、飲食チェーン2店舗の責任者を務め、連日早朝に帰宅し3時間後には出勤する生活で身体がボロボロに。魚沼に移住していた親を訪ね、家庭菜園のトマトをかじったら、そのうまさに衝撃を受けた。「自分がいままで提供していた野菜はなんだったのか」
農業をしようと2002年に移住。農地は入手できず、農機具会社などに勤めながら農作業に必要な機械の使い方を学ぶ。それから10年。NPOで集落活性化に携わった際、引退する農家から2ヘクタールの田んぼを借りられ、就農がかなった。
若手が次々と加わり、いまは5人雇用。米価下落とともに借り受ける農地も17ヘクタールに増え、米と特産の深雪（みゆき）なすを作る。経営は農業だけでは厳しく、多角化をめざして、今年から魚沼の地域情報サイトや特産品のネット通販サイトを開いた。
移住して20年。街にあった映画館はなくなり、若者の流出も続く。それでも、「農業でひとを笑顔にし、地域のにぎわいを守りたい」と言う。「自分のためだけに思う存分農業を楽しむのは、もう少し先かな」（白石和之）
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March 07, 2022 at 08:30AM
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農業で地域のにぎわいを 移住して20年の坂本淳さん - 朝日新聞デジタル
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