高岡市博物館6点展示
高岡市博物館は、加賀前田家三代の前田利常(1594〜1658年)が行った農政改革「改作法」に基づき、加賀藩内の全村に1通ずつ出された年貢割付状「村御印(むらごいん)」6点を常設展お宝コーナーに展示している。3月21日まで。 (武田寛史)
同館の仁ケ竹(にがたけ)亮介副主幹学芸員(46)は、高岡市域には江戸時代に二百十三カ村あり、村御印は計二百通以上存在していたと推測。「村の姿が分かる貴重な史料だが未確認も多い。失われる前に博物館で保管できれば」と情報提供を呼び掛ける。
改作法は、凶作で困窮した藩、藩士、農民の救済を目的とした。多額の補助金を農民に給付する一方、豊凶にかかわらず年貢率を一定にした上で増税し、農業の持続と安定を図った改革として評価されている。
同館は村御印の原本を八点所有しているが、そのうち四点が二〇一九年から続けて寄贈されたことから公開した。
村御印には村の草高(くさだか)(米の収穫量)、免(めん)(年貢率)、小物成(こものなり)(米以外の収益に対する雑税)などが記載されている。西藤平蔵(にしとうへいぞう)村では草高が「七百二十五石」、免が「三ツ八歩」(三割八分=38%)、改作法の増税分の「手上免(てあげめん)」の記載がある。城光寺村には山役、鮭役、鱒役、猟船櫂(りょうせんかい)役など銀を納める雑税が書かれ、二上山と小矢部川からの収益に課税されていたことが分かる。
村御印の日付は一六七〇(寛文十)年九月七日。一升の升の大きさが新京枡(しんきょうます)に制定された一六六九年以降に各村に出し直された。利常の没後だが、日付に利常の印が押されていることから御印と言われている。
仁ケ竹副主幹学芸員は「村御印は村ごとに収穫量や年貢率が細かく違い、農村の歴史そのもの。原本には歴史を訴える力があり、とても大事」と話している。
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