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Friday, August 13, 2021

広がる放置竹林 地域資源として活用を - 日本農業新聞

 管理が行き届かない竹林が広がり、農業や林業に悪影響を及ぼしている。解決には、タケノコに加え、竹自体を資源として利用する発想が必要だ。身近な国産材の活用は持続可能な社会づくりにもつながる。地域の実情に応じた用途を探ってほしい。

 林野庁によると全国の竹林面積は16万7000ヘクタール(2017年)で、5年間に約5000ヘクタール増えた。人の手が入らなくなったのが要因だ。かつて竹は、タケノコを採取したり、竹籠など生活用品の素材として使ったりして身近な存在だった。だが安価な中国産タケノコの流入やプラスチック製品の普及で、経済的な価値が相対的に下がった。

 それに伴い放置された竹林が広がった。鹿児島県、大分県などの西日本や千葉県などで顕著だ。田畑を荒らすイノシシなど野生鳥獣の隠れ家になる。隣接する農地に地下茎を伸ばして芽を出し、耕作を妨げる例もある。密に茂った土地では日光が地表に届かず、杉やヒノキなどの樹木が育ちにくい。国際的な木材高騰で国産材が注目される中、この問題も見過ごせない。

 やぶ化すると管理はさらに難しくなる。深刻になる前に人里に近い竹林から手を打つのが現実的だ。伐採・運搬の費用は近場なら軽減しやすい。再生した竹林でタケノコ生産を軌道に乗せ、さらに付加価値が高まる活用策を見いだす二段構えが理想的だろう。

 好例の一つが“食べる解決法”だ。福岡県糸島市の民間団体が、幼竹をメンマに加工する「国産メンマプロジェクト」を立ち上げ、事業化を推進。35府県の団体が参加する。タケノコでの収穫適期を逃した後も食用にできるのが利点だ。2、3メートルに伸びたモウソウチクを使う。供給を増やすため、同団体は加工手順を無償で公開している。

 農業資材での活用も重要だ。長崎県立諫早農業高校は、パウダー化した竹をジャガイモ畑の土の表面にまき、上からマルチを張ると雑草が生えにくいことを突き止めた。大阪府立園芸高校も菊の園地で、5ミリ以下に砕いた竹チップをマルチの替わりに敷き詰め抑草効果を確認。こうした新用途の他、従来からの肥料、飼料での利用も広げたい。

 難題は、中山間地など条件不利地の竹林の活用である。採算性が悪く、行政の支援が一層必要だ。そのための公益性として、地球温暖化を防止する脱炭素社会型の素材に竹を位置付けることを求めたい。鹿児島県薩摩川内市は竹由来素材「セルロースナノファイバー」の研究を進める。軽量、丈夫で環境負荷も少ない。建材としての性能を環境省の事業を使って確かめている最中だ。

 こうした未来型の試みも官民が連携し展開してほしい。

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