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Monday, August 2, 2021

農地の受け手育成 地域の支援体制強化を - 日本農業新聞

 担い手農家だけで地域の農地を引き受けるのは限界だとみる市町村が大半を占めることが、農水省の調査で分かった。農地の維持には多様な担い手の育成が欠かせないことを裏付ける。それには、農地の利用を巡る話し合いから担い手の育成まで後押しする地域の支援体制の強化が必要だ。

 調査は、農地中間管理機構(農地バンク)の活動状況に関して市町村などを対象に1~3月に実施。結果、離農などで農地の出し手が増えた場合、地域の担い手が農地の「多くを受けられる」とみる市町村は15%にとどまった。「少しなら受けられる」は62%、「あまり受けられない」は23%で、合計85%に上る。

 あまり受けられない理由(複数回答)で最多は「担い手の経営可能な範囲を超える」で74%。続いて「担い手に規模拡大の意向がない」が34%だった。担い手が既に手いっぱいとみる市町村が多い。また遊休化する前に農地を受け手につなぐことができているかについて「一部できているが、遊休農地は発生している」が68%、「ほとんどできていない」が23%で、合計9割を超えた。生産現場に近い市町村の認識は厳しく、農地の減少が危ぶまれる。

 同省は、農地を受ける余力がある担い手への仲介を、地域外も含め強めることが必要だとする。ただ、既存の担い手の多くに限界感がみられる中で農地を守るには、新しい受け手の確保が必要だ。

 JAグループは、中小・家族経営や「半農半X」など農地を適正に利用する者を、地域を支える多様な担い手として位置付けることを提案。政府・与党も農地施策の見直し方針で、多様な経営体も「人・農地プラン」で農地の受け手とする考えを示した。

 政府・与党は「人・農地プラン」を法定化する方向だ。農地の出し手と受け手の明確化など農地利用を巡る地域の話し合いや実践を継続的に進めるのが狙いだ。しかしそれだけで実質的な話し合いが進むか疑問だ。地域農業を支える市町村の農業担当職員やJA職員なども減少している。

 地域の支援体制の強化が必要で、同省の調査でも課題として浮かび上がった。担い手に農地を集める農地バンクの機能発揮には「地域の担い手の確保・育成」がまず必要とされ、次いで「現場のコーディネート活動の強化」「農業委員やJA、土地改良区などとの連携強化」が挙がった。

 多様な担い手を育成するためにJAグループは、経営発展に向けた計画づくりや実践を後押しする農業団体を「伴走機関」と位置付け、その支援を提案した。多様な担い手への支援策と併せ、地域の支援体制も強化していくことが欠かせない。政府・与党には具体策の検討を求めたい。

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