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Monday, March 8, 2021

[大地とともに](上)農業再生 担い手の確保難航 通い続け農地保全 稼働面積増やせず 福島県大熊、双葉町 - 日本農業新聞

みどり戦略 論語と算盤で 消費者 農への参画を 農業ジャーナリスト 小谷あゆみ氏  気候変動やさまざまなリスクに対応する新たな食料生産の柱として、農水省は5日、「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめを発表しました。積極的な環境対策は、国際的な立場においても欠かせないもので、新しい食料戦略は、東アジア地域の農業のこれからを示すことになります。  具体的には、農林水産業の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすること。化学農薬を5割、化学肥料を3割、使用量を減らすこと。そして、有機農業を2050年までに全耕地面積の25%(100万ヘクタール)に拡大するなどが挙げられます。  目標25%の数値は欧州連合(EU)と同じですが、EUは現在7%の有機農地を30年に25%にしようというもの。これに対し日本は現在0・5%(2万3500ヘクタール)ですが、約30年かけて目標を達成しようというもので、実現に向けてスマート技術などによる新技術や新品種の開発を盛り込んでいます。世界のオーガニック市場は10年前の2倍の10兆円規模と拡大の一途であり、国の成長戦略としても欠かせません。  みどり戦略の掲げる「生産力と持続性の両立」で思い出すのは、渋沢栄一の「論語と算盤」です。幕末から明治大正期に日本資本主義の礎を築いた父の言葉ですが、そろばん勘定の裏には、論語に裏打ちされた商業道徳がないと豊かな社会は築けない、つまりどちらも重要だという考え方です。埼玉県深谷の農村出身の渋沢が家業の藍生産と養蚕のビジネスから学んだように、自己と他者(環境)の利益をうまく合わせて三方良しにする「和」の精神は、農村文化の繁栄につながります。  そこで大事な経済との両立として、筆者が提案したいのは、消費者をいかに農へ巻き込むかです。「理解」だけでは、手間のかかる有機農産物のコストは回収できません。消費者に「農への行動」を促し、草むしり、虫捕り、あぜや用水の清掃に参画してもらうのです。援農ではなく、自分の健康のためにです。  新型コロナウイルス禍で、農への関心が増えると同時にストレスも増しています。時にはスマホを捨てて畑へ出ようを国民運動に一億総農ライフを促せば、規模の大小や認証の有無にかかわらず、有機農人口は増やせます。  人と人の出会いこそ、最大のイノベーションです。生産を知れば、心が動き、行動も変わり、新たな展開も生まれます。こうした農と食を結び直す架け橋になってこその協同組合ではないでしょうか。 日本農業新聞の購読はこちら>>

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