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Sunday, March 21, 2021

一般企業の農地所有 特区=全国展開に疑問符 前例 実務的変更多く - 日本農業新聞

 国家戦略特区諮問会議の民間議員が、同特区での一般企業の農地所有について「特段の問題がなければ全国展開が原則」と主張している。だが、同特区発で全国展開された農業関係の10項目は、農水省の通知などによる実務的な制度変更がほとんど。唯一法改正を伴ったものも、特区での実証前に法改正の方針が決まっていた。これらの前例と、懸念が強い企業の農地所有を同列で扱っていいのか、同特区の在り方が改めて問われそうだ。

 政府は同特区を「岩盤規制の突破口」と位置付け、2013年12月に創設。特区内で規制改革を試し、全国展開を進めている。事務局の内閣府によると、特区で行った114項目のうち、全国展開したものは44。農業関係は13項目のうち10項目が全国展開された。

 農業関係で目立つのは農水省の局長・課長通知などによる制度変更だ。①農地中間管理機構(農地集積バンク)の農地の転貸手続きの期間を短くする②登録済み農薬をドローン(小型無人飛行機)で散布する際、農薬の試験データ提出が不要であることをメーカーに明示③中山間地域等直接支払交付金の返還免除――といった内容が並ぶ。「岩盤規制」「国家戦略」とは言えないような、実務的な制度変更だ。

 唯一、法改正を伴ったのは、農地法で定める農地所有適格法人の役員要件の緩和。農業(販売・加工含む)に常時従事する役員のうち、農作業に従事する役員の人数を過半から1人以上にし、役員が販売や加工などにも専念できるようにした。だが、特区内でこの要件緩和を実証する計画が初めて認定されたのは14年12月。同年6月の段階で、政府は規制改革実施計画で農地法改正の方針を決めており、特区での検証を踏まえた改正・全国展開とは言い難い。

 有害鳥獣捕獲に関する兵庫県の計画で、捕獲許可期間を「原則3カ月」から「必要かつ適切な期間」に変更したことも、全国展開の実績に並ぶ。特区の同県養父市で、実質通年で捕獲が可能になったという。だが、「特区でなくても県の計画は変更できる。単なる実績づくりだ」(中央省庁関係者)との指摘もある。

 養父市で実証が進む企業による農地取得を巡っては、同特区諮問会議の竹中平蔵氏ら民間議員が「成果は出た」として、全国展開を強く要求している。だが、農地取得の実績は6社で1・6ヘクタールにとどまり、経営面積全体の1割に満たない。内閣府は「成果が出ているかどうかを判断する定量的な基準はない。弊害がなければ全国展開に向けて議論する」(地方創生推進事務局)と説明する。

 農業の規制緩和に詳しいある研究者は「特区内で試した結果を客観的に評価する手続きが制度として欠けている。特区で取り上げれば、自動的に全国展開が認められるような運用になりかねない」と指摘する。
 

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