農産物販売、田植え作業
「春の野菜の定植や母の日向けのカーネーションの販売実習ができなかった」と、宮城県農業高校で、農場を担当する佐藤考志教諭は残念そうに話す。
午前9時過ぎ。静まり返った校内では、朝の収穫を終え、両手いっぱいにイチゴや卵、野菜の苗などを抱えた教職員らが戻ってきた。車庫の前に集まると、次々とトラックの荷に商品を積み込んでいった。
農場には生徒が種をまき、育てていた農産物がある。普段は実習や寮の食材として使われるが、休校で収穫を迎えた農産物の行き場がなくなっていた。「何とか有効活用できないか」と職員が思い付いたのが無人販売だった。「生徒の努力を無駄にしないように、先生たちが頑張っている姿を伝えていきたかった」と佐藤教諭は話す。
無人店舗の看板や荷棚も職員らが協力して作り上げた。午前9時30分に開店するやいなや、地元の人々が続々と買い求め、代金を集金箱の中に入れていった。イチゴや卵を買った名取市の荒川克彦さん(69)は、「農高のイチゴは安くて新鮮でおいしい。家で早速食べたい」と話す。
宮城県内の高校は今月31日まで休校が決まっている。6月からの授業再開を目指して教諭ら約40人が栽培を続けている。授業再開後すぐに、トマトの収穫など季節に合った実習を行えるようにするためだ。「3密」を避ける授業の準備や新たな時間割の見直しも進んでおり「例年なら夏から本格化する進学や就職選考に影響が出ないよう、着実に準備を進めたい」と佐藤洋教頭は説明する。
山形大学農学部では、教授や大学職員らが農場を維持している。農学部付属やまがたフィールド科学センターエコ農業部門長の浦川修司教授は「農場を止めるわけにはいかない」と話す。農学の研究には作物の生育段階に合わせた実験を進めていくことが必要だ。農場で収穫した米などを販売し、収益を農場の運営や学生支援にも充てていることもあり、農場の維持は必要となっていた。
約20ヘクタールの広大な農場を守っているのは教授陣や15人の技術スタッフだ。教授自らがトラクターのハンドルを握ることもあるという。浦川教授はコロナ禍の中、教育現場では試行錯誤が続いているとした上で「日常が早く戻り、学生が安心して農場に来れる環境になってほしい」と願っている。
家畜の世話、教材準備も
茨城県立水戸農業高校では田植えや梨の摘果作業などに普通科の教員も総動員で当たる。畜産科で飼育する乳牛や肉牛約20頭、繁殖豚10頭、肥育豚120頭、鶏500羽は約15人の教職員が世話する。鹿島正浩農場長は「子牛が生まれたばかりで、休校の知らせに落ち込む生徒もいた」と話す。
同校では5月、笠間稲荷神社の御田植祭で生徒が早乙女の衣装で稲の苗を植える儀式に参加してきたが、今年は参加を取りやめた。「文化や伝統に触れる機会がなくなり残念」と鹿島農場長は話す。
兵庫県立農業高校でも、普通科の教員らもジャージーに着替えてフル回転だ。伊林淳弥教頭は「普通教科はネットワークを使った教材を使えるが、農業教科でもネットワークで教材を作れないか」と、実地中心の農業科目の遅れをどう取り戻すかに頭を悩ませる。
長野県佐久平総合技術高校浅間キャンパスでは、教員が実習で使う野菜や花、家畜の世話などに汗を流してきた。今月18日からは休み中に高校から出された課題の提出などで、生徒は徐々に登校を始め、25日からは分散して授業を再開する予定だ。
同校の山岸祐一教諭は「本来なら動植物の成長過程を一から実習で学んでほしかった」としながらも「生徒も教員も学校再開を心待ちにしている。準備を進めていきたい」と意気込む。
全国農業高等学校長協会の齋藤義弘理事長(都立農業高校長)は「休校中は多くの農高で教員らが農作業を請け負った。フォローアップ方法は都道府県ごとに決まるが、季節性のものは教科書やビデオ教材で理論を教えることになる」としている。
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May 14, 2020 at 05:02AM
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[新型コロナ] 休校の農業系学校…教職員大忙し 授業再開へ農場守る - 日本農業新聞
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