毎日の食卓を豊かにする牛乳や乳製品、それに牛肉。どれも酪農や畜産のおかげで、恵みにあずかることができます。しかし、全国的に直面しているのが人手不足という課題です。24時間、牛という生き物の面倒を見ることが、担い手にとって負担になっているからです。どうしたら負担を軽くできるのか。
解決に乗り出したのが、NHK連続テレビ小説「なつぞら」で注目を浴びた北海道十勝地方に本社があるITベンチャー企業です。そのカギは、AI=人工知能。十勝から、「世界の農業を変える頭脳になる」とまで言い切る、この企業の挑戦に迫ります。(帯広放送局記者 加藤誠)
「発情期」を見定める新装置
広大な平野が広がる北海道の十勝地方。ことし1月、私は、その真ん中、更別村の酪農家、渡辺浩明さんの牧場を訪ねました。
これ、首輪型の「端末」だというのです。「加速度センサー」という装置で、1頭1頭の牛の動きを24時間、記録することができます。
大事なのは、繁殖時期を迎えた牛の「発情期」の兆候をつかみ、早く種付けを行うこと。牛は子どもを産まないと乳を出さないため、出産のサイクルを早くすることが牛乳の生産量を増やすことに直結するからです。
渡辺さんは、発情期を迎えた牛を示しながら、「今だとあの牛が発情している。これまでは他の牛にちょっかいを出すなどの動きを見て発情を判断していたけど、センサーによって、人間の目ではわからない、微妙なそわそわしている動きでも教えてくれるのが助かる」と話していました。
開発したのは十勝発ITベンチャー
なぜ発情期が分かるのか、事業を統括する下村瑛史専務に仕組みを聞きました。
牛は発情期になるとそわそわして落ち着きがなくなって「活動」が増え、「反すう」の時間が減るという特徴が出ます。
このため、AIが、膨大なデータから発情期に入った牛を見つけ出すことができます。
牛の発情は平均21日周期で訪れますが、1度の発情は約8時間程度しかありません。夜の時間帯に訪れることも多く、見逃しを減らそうとすると、酪農家は不眠不休で監視しなくてはならなくなります。
その一方で、会社によると発情を一度見逃すと生乳生産の減少やその間の餌代などで9万4000円の損失になるということで、酪農家の悩みのタネでした。
「酪農家を負担から解放したい」
“このサービスには価値がある”
下村さんは創業当時、畜産現場で数か月研修を行った経験から、そう確信したといいます。
下村さんは、「当時入った牧場では、高齢の女性が1頭1頭、いつ受精したか、いつ分べんしたかという作業記録を手書きの台帳で残しているだけで、獣医とそれをぱらぱらとめくりながら話をしていた。そのとき自分たちの技術を使って日本の酪農畜産に貢献できるかもしれないと強く感じた」と話していました。
導入4000戸まで拡大
さらに会社では、大量に集まった牛のビッグデータを活用して、新たなサービスの検討も進めています。例えば、入力した病気の診断記録と牛の行動データを照らし合わせて、家畜伝染病の流行をいち早くキャッチして、注意を呼びかけることなどを検討しているということです。
下村さんは「農協などと連携して、肉牛の飼料の効果を図るなどいろいろな展開が可能だと考えています」と話していました。
目指すは『世界の農業の頭脳』
会社がいま目指すのは、サービスの海外展開です。すでに去年の秋から冬にかけて、実験を始めています。
北海道・十勝発の若きベンチャー企業が、世界をリードする酪農や畜産の姿を示してくれるかもしれない、そういう期待を持って、今後の動向にさらに注目していきたいと思います。
加藤誠
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