丁寧に書き留めてきたノートが、思いがけぬ雨でずぶ濡れになってしまっても「レスキューできる」。老舗ノートメーカー・大栗紙工(大阪市)の紹介したライフハックがツイッターで大きな注目を集めた。
濡れてしまったノートは冷凍庫で「乾かす」のがおすすめだという。J-CASTニュースの取材に対し、広報担当者は2023年4月12日、冷凍が有用である理由を説明した。
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ノートを冷凍?(写真:大栗紙工)
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冷凍で乾かしたノート(写真:大栗紙工)
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コーヒーをこぼしてしまったノート(写真:大栗紙工)
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冷凍前に漂白剤でシミを抜くと薄くなる(写真:大栗紙工)
「週末2日あればレスキューできる」
日本各地で雨が降った7日、大栗紙工はツイッターで次のように呼びかけた。
「今日の雨でノートを濡らしてしまったら......冷凍してください!」
軽い濡れ具合であれば「週末2日あればレスキューできる」として、ノートを乾かす方法を紹介した。ドライヤーを用いず、冷凍庫で乾かすのが良いという。
濡れてしまったノートは中をめくらずに、まずタオルなどで表面の水分を取る。続いて、チャック付き食品保存袋などに入れる。袋の口を開いた状態で24時間ほど冷凍後、軽く霜を落としたらペーパータオルに挟み、雑誌など重さのあるものを上に置いて2日ほど待つ。すると、ノートがほとんど元通りになるという。
乾かす時間を短縮したい場合は、冷凍後のノートのページの間にコピー紙などを挟んだり、より重量のあるものを重しとし使ったりすると良いという。ページ同士がくっついている時は、無理にはがさないよう呼び掛ける。
一般的に、ドライヤーなどでノートを乾かすと紙が波打ってしまうこともある。しかし大栗紙工の実演動画によれば、冷凍で乾かすとノートの紙がぴんと張った状態に戻っていた。取材に対し、大栗紙工の広報担当者は、水の持つ性質を利用していると説明する。
「冷凍すると凍った水分(氷)が気化する(昇華)ため、乾燥します。昇華は紙とは関係なく、水の持つ性質です。 冷凍庫内は乾燥しているため、密封していないと濡れたものが乾きやすい環境です。また、凍った状態(氷)からも気化する昇華現象が起こります。そのため、濡れた紙を冷凍庫に入れると乾くのです」
ドライヤーで乾かしてしまったら
ドライヤーで乾かすと波打ってしまうのは、熱風の当たり具合によって乾きにムラが出てしまうためだという。冷凍庫であれば、全体からほぼ均一に水分を抜くことができるため、しわになりづらいそうだ。
ドライヤーで乾かしてしまった際の対処法は、ツイッターで次のように紹介している。
「冷凍ほど綺麗にならない&フリクション(編注:パイロット社の消せるインク)は吹っ飛びますが...アイロン(ドライ・中〜高)で多少マシに。波打ちがひどい箇所は高濃度アルコールスプレー(キッチン用でOK)で湿らせます。
ドライヤーで硬くなったページは破損しやすいのでご注意を」
広報担当者によれば、アルコールスプレーでしわ伸ばしができる理由は把握していない。ただインターネット上にあった情報を実際に試した結果、有用だったという。
広報担当者は、冷凍庫を使ったノートの乾かし方について、表面がツルツルしたコート紙には不向きな方法だと補足する。冷凍庫前にタオルに挟んで水分をできるだけ取っておくことや、雑誌でプレスする際は平らな形をキープできる重さも必要だと述べる。雑誌1冊で足りないときは上に重しを載せてもいいそうだ。
飲料をこぼしたら漂白剤
さらに大栗紙工は、飲み物をこぼしてしまった際の対処方法も説明している。ランドセルの中で麦茶を、喫茶店でコーヒーをこぼしてしまった際には、冷凍前に漂白剤でシミを抜く方法があると紹介する。
1ページだけこぼした際には、台所用や風呂カビ用の塩素系漂白剤を薄めた水をティッシュに含ませ、染みた箇所にトントンと当てる。色がとれたら水を含ませたティッシュで再び軽くたたく。全体的にこぼしてしまった際には、薄めた漂白剤で振り洗い、落ちたら同様に水ですすぐ。その後は、冷凍庫で乾燥する。
大栗紙工がコーヒーで行った実験では、シミはかなり薄くなったという。
「コーヒー、醤油は落ちます。麦茶は、すっきりとではありませんが落ちます。緑茶は、変色するのみできれいになりませんでした」
大栗紙工の一連の投稿は「過去の自分に教えたい」などと大きな注目を集めた。冷凍での乾燥方法を紹介するツイートは、約3万6000件のリツイート、3万2000件の「いいね」が寄せられるなどの大きな反響があった。大栗紙工によればフォロワー数が増加したほか、商品の注文や無料サンプルの請求も増えたそうだ。
ライフハックを紹介したツイッター担当者は運用を任されて1年未満だが、プライベートでツイッターを13年以上利用している「ツイ廃」だという。広報担当者を通じて、「会社や製品の紹介を通じて、真面目にメイドインジャパンのモノづくりに取り組む中小企業の頑張りを伝えていきたい」と意気込みを述べる。
広報担当者は「たくさんの方が同じ困りごとを経験しているのだなと感じました」と振り返る。
「新入学・進級などのシーズンであり、新学年などに向けた使い始めのノートを持ち歩いている子どもさんが多く、雨で濡らしてしまったらガッカリするだろうとの思いから、レスキュー法を発信しました。
せっかく用意したノートをだめにせずに済んでホッとしてもらえたら、また、残りのページを使い続けてもらえたら嬉しいです」
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April 15, 2023 at 06:00AM
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