農林水産省は29日、食料・農業・農村政策審議会(農水相の諮問機関)の会合を開き、農政の基本方針を定めた「食料・農業・農村基本法」を検証する部会を設置することを決めた。基本法は施行から20年以上が経過しており、ロシアのウクライナ侵攻で露呈した食料安全保障など現状の農政課題を踏まえて見直すよう岸田文雄首相が指示していた。新設する部会で10月から見直しの方向性を議論を進め、来秋にも結論をまとめて農水相に答申する。
会合の冒頭、野村哲郎農水相は「食料安保のリスクの高まりや気候変動、海外市場の拡大など国内農業を取り巻く情勢が、基本法制定時に比べて想定されなかったレベルで変化している」と指摘。「見直しには国民的コンセンサス(同意)を得ることが重要」と強調し、食にかかわる事業者や消費者を含めた幅広い関係者での議論を求めた。
この日の会合には、農業法人や団体の代表、食品会社幹部や大学教授などの有識者が参加。生産者側の立場からは、農家や農地の激減といった恒常的課題に歯止めをかけるため、「生産コストが高くなる中での農産物の適正価格の形成」や「農業の重要性を認知してもらうための国民教育の徹底」「農地の流動性向上」といった観点を基本法に盛り込むよう注文をつけた。
一方、食品に関わる事業者からは「フードバリューチェーン確保に向けた親日国との関係構築の重要性」「国民の食生活の変化への対応」など消費者目線を意識した意見が相次いだ。
基本法は「食料の安定供給」のほか、人材の育成や確保を掲げた「農業の持続的な発展」など4つの理念で構成。「国内の農業生産の増大を図ることを基本」と明記し、基本法を基に食料自給率の向上を図ることも規定している。
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September 29, 2022 at 06:12PM
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農業基本法検証・見直しへ新部会設立、有識者と議論 - 産経ニュース
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