栽培中の野菜の栄養状態をモニタリングできる機器を開発したい。東京理科大理工学部(千葉県野田市)の学生が東京都葛飾区の農地で、電気工学や情報通信技術(ICT)を活用した実証実験を進めている。実現すれば農作業の大幅な効率化が期待でき、農家の担い手不足解消の一助になる。目指すのは「都市型スマート農業」。関係者は熱い視線を注いでいる。(太田理英子)
京成高砂駅南側の住宅街の一角にある畑。7月下旬、同大大学院1年の岡嶋真由さん(24)が畑で栽培されているナスの葉に、小さな四角いアルミホイルを取り付けていた。アルミホイルは微弱な電気を流す仕組みとなっており、ケーブルで電気を流す機器やノートパソコンとつないでいる。パソコンの画面には次々と数字が記録され、その様子を同1年内田
この実験で学生たちは、順調に育った野菜と栄養不良で生育が劣る野菜の状態が、数値上でどう違うのかを調べている。
微弱な交流信号を流し、流れ具合を示す電気抵抗値などを測定。人間の体脂肪率などを測る体組成計と同じ仕組みで、学生たちは周波数を変えながら、野菜の品種や生育状態によってどのような数値の差異があるかを記録している。違いがはっきりすれば、足りない栄養素が特定できるという想定だ。気温や天候の状況に応じた水分の過不足なども分析するという。
実験は今春、葛飾区と同大、地元JAの共同事業として始まった。区内では東部を中心にコマツナやトマトなどが栽培されているが、宅地化や後継者不足で農地面積は縮小しつつあり、現在は計約35ヘクタールほど。
区の担当者は「狭い農地が点在する都市型農地の生産性を上げ、収益を確保することが課題だ」といい、実験に協力する同区細田の農家杉浦
学生たちは実験と並行し、安価で簡単に使え、天候や農薬の散布に影響されにくい測定機器の開発を進めている。いずれはスマートフォンと連動させ、遠隔で野菜の栄養状態などをモニタリングできるようにする計画だ。
岡嶋さんは「先行研究が少ないので手探りの状態だが、科学技術によって農家の負担が少しでもなくなれば」と力を込めた。
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