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Friday, April 15, 2022

高齢化で変わる島の農業、最大の敵はカラス - 朝日新聞デジタル

鵜沼照都

 【山形】飛島は海底が隆起した海岸段丘になっている。定期船から眺めると、さながら海中から突き出た緑の屛風(びょうぶ)のようだ。

 標高50~60メートルの台地を貫く農免道路沿いには畑が並ぶ。小さいながらもよく手入れされた野菜畑の間で目立つのが、耕作を放置されたヤブだ。高齢化は島でも深刻だ。

 「昔は島でもいろいろやってたのよ。でも、いまはやる人もいないから……」

 勝浦地区で旅館を営む本間むつ子さん(70)が教えてくれた。畑の傍らで枯れているのはオオイタドリだという。若い芽や茎は山菜として食べられる。

 「みんな、燃料にも使ってたんだけどねぇ」

 本間さんは、島産ジャガイモの「ゴドイモ」やブロッコリー、ダイコンなどを畑で作っている。リンゴや飛島ナシ、キウイなどもあるが、手入れが追いつかず、実りはあまりよくないそうだ。

 さらに頭が痛いのがカラスだ。「(収穫間近の)いいところになると、カラスにやられちゃう」

 近くの畑では、高齢の女性が、何やら光るものを引っ張っていた。テグスだ。ゴドイモを植えた畝(うね)の上1メートルほどに、約1メートル間隔で張る。

 「カラスよけ。カラスは人間よりアタマいいよぉ」。芽が出る時期になると狙われるのだという。「畑全部は覆えないけど、これでも十分、効果はあるのよぉ。実証済み」

 1960年代の飛島を記録した写真集「とびしま」(鈴木睦任著)には、クロマツ林に囲まれた畑で栽培するチューリップなどのほか、黄金色に実った「田の尻の水田」の写真が収録されている。

 人が減り、高齢化も進んで、畑は荒れる。一見のどかな人里は、また自然に覆われようとしている。(鵜沼照都)

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