気象庁、16日以降も警戒呼びかけ
列島に停滞する前線の影響で、15日は東海や関東甲信を中心に大雨となった。11日から続く大雨や土砂崩れで、全国で少なくとも4人が死亡、5人が行方不明となっている。16~17日は西日本から東日本の広い範囲で非常に激しい雨が降るところがある見通し。これまでの記録的な大雨で土砂災害や河川氾濫(はんらん)の危険性が高まっている地域があるため、気象庁は引き続き厳重な警戒を呼びかけている。
国土交通省によると、15日正午時点で少なくとも全国15府県で44件の土砂災害が発生。31都府県372市町村に土砂災害警戒情報が発表された。また、西日本を中心に全国9県の計36河川で氾濫が発生し、広島県の多治比川と入野(にゅうの)川では堤防が決壊した。
長野県岡谷市では、住宅裏側の斜面が崩れて土砂が流入し、当時この住宅にいた巻渕友希(ゆき)さん(41)、次男で中学1年の春樹さん(12)と三男で小学2年の尚煌(なおき)さん(7)がいずれも死亡した。
広島県では大雨や土砂崩れの影響で少なくとも1人がけが、2人の行方がわからなくなっている。
県によると、庄原市では13日、自宅の裏山付近にいた男性(51)が崩れた土砂に巻き込まれ、腰や足を負傷した。県警などによると同日、安芸高田市の70代の男性が外出したまま家に帰っておらず、14日にも田んぼの様子を見にいった東広島市の80代の男性の行方がわからなくなっている。
九州・山口の各県がまとめた被害状況によると、15日午後5時現在、長崎県で死者1人、行方不明者2人。熊本県で行方不明者1人が確認された。
長崎県雲仙市では13日未明、土砂崩れに巻き込まれ森文代さん(59)が死亡。夫の保啓(やすひろ)さん(67)と娘の優子さん(32)の行方が分かっていない。熊本県では錦町の古川幸(みゆき)さん(76)の行方が分からなくなっており、県警などは増水した球磨川に転落した可能性があるとみて捜索している。
このほか、長崎県西海市では14日夜、用水路周辺で北村ヤエさん(73)と民生委員の田崎文子さん(70)が倒れているのが見つかり、死亡が確認された。また佐賀県小城市でも14日夜、大雨で増水した川の排水作業をしていた作業員の石井和夫さん(75)が機械に体を挟まれ、搬送先の病院で死亡が確認された。
気象庁によると、15日午後5時40分までの24時間雨量は多い順に、神奈川県山北町326・5ミリ▽同県箱根町272・0ミリ▽静岡県御殿場市268・0ミリ▽相模原市中央区244・5ミリ▽静岡県伊豆市210・5ミリ。
15日は前線が南下した影響で西日本の雨は小康状態となったが、15日夜以降、北上する見込みで、再び大気が不安定な状態となるという。前線は20日ごろまで停滞する見通し。
16日午後6時までの24時間に予想される雨量はいずれも多いところで、九州南部、北部180ミリ。17日午後6時までの24時間でみると、九州南部、北部100~200ミリ▽四国、中国100~150ミリ▽近畿、東海、北陸50~100ミリの見込み。
総務省消防庁によると、15日午前11時現在、千葉、長野、広島、島根、福岡、佐賀の6県14市町の23万4010世帯の52万3184人に、最も警戒度が高い避難情報「緊急安全確保」(警戒レベル5)が発令されている。
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