新型コロナウイルスのワクチンが行き渡っていない若年層が予約なしで接種できるようにと東京都が渋谷区に開設した接種会場は、開設初日の27日に大勢の人が集まり、早朝段階で300人分が受け付け終了となった。この結果を受けて注目を集めているのが、8月に東京都が予算化した10億円の「ワクチン接種促進キャンペーン事業」だ。感染者が多い若者世代にワクチン接種の啓発を図る狙いだが、「渋谷の件で、打たないのではなく打てない若者が多いことはハッキリした」「(PR費用は)マジで意味がない」。小池百合子知事を支える「都民ファーストの会」の都議からも疑問の声が上がる。(デジタル編集部)
◆「他年代より多い」
「20代30代では男女ともに、他年代と比べると『接種しない』『わからない』の回答が多い」。8月26日に小池知事らが出席して開かれたモニタリング会議。席上、専門家からはワクチン接種に関するこんなデータが報告された。
都内の20-70代の1000人を対象にしたインターネット調査。全年代では、接種経験や接種意欲のある人が約78%で、逆に「おそらく接種しない」「絶対に接種しない」は1割強だった。これに対し、20-30代は接種経験と接種意欲のある人々が60~75%程度だった一方、「おそらく接種しない」「絶対に接種しない」は16~19%程度とほかの年代より高かった。
接種しない、わからないの理由では「ワクチンの副反応が心配」「健康被害が心配」「効果に疑問がある」が上位を占めた。
これまで「若者にワクチンについてのデマが広がっており、ワクチンの意義や安全性などの正しい情報を、SNSなどを使いながら伝えていく必要がある」と語っていた小池氏。この日の会議後も「接種しない、わからない方が5分の1ほどいる。こうした方の接種を促進するために丁寧な情報発信を行っていく」と語った。
◆小池知事「若者の意欲高い」
翌27日、東京・渋谷に設置された新型コロナウイルスワクチン接種会場に多くの人が集まった。新型コロナウイルスワクチンの若い世代への接種促進策として、予約なしで都内の在住者と通勤、通学で訪れる16歳から39歳が接種できる。午前4時すぎには15人ほどの列ができ、午前7時半にはこの日の300人分が埋まったとして、受け付けを締め切った。
小池知事は同日の定例会見で「若い方々の2割弱がワクチンには否定的だとのデータもあるが、一方でこれだけ多くの方々が会場に集まった。8割は逆にワクチン接種の意欲はあると理解され、若い方の接種意欲は極めて高いと受け止めている」として、新たに3会場で若者のワクチン接種の予約を受け付けると明かした。
「並んだのになぜ受けられないのか」「見通しが甘い」。都の初日の反応に対し、都のコールセンターには27日午前中だけで1万件を超える苦情や問い合わせの電話が相次いだ。
◆「接種センターの方が良い」
都に疑問を呈したのは、ワクチン接種を受けに来た人ばかりではない。
「それにしても渋谷の件で、打たないのではなく打てない若者が多いことはハッキリしたわけで、接種促進キャンペーン事業の10億円、特に『接種をためらう若者に接種を促すPR費用』7.5億円というのはマジで意味がないのではないかと思います。その予算であと何ヶ所か接種センターを設けた方が絶対に良い」
27日午後にツイッターでこう発信したのは、小池氏の元秘書で、現在は小池氏が特別顧問を務める「都民ファーストの会」の尾島紘平都議(32)だ。
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