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Tuesday, April 20, 2021

経営視点で農業を 三浦初声高で産農人育成プロジェクト - 朝日新聞デジタル

 神奈川県三浦市の県立三浦初声高校で、農業を学ぶ生徒に「経営」の視点で捉えた農業のあり方を伝え、就農や関連業界への就職を支えるという取り組みがある。横須賀市の横須賀商工会議所が2018年秋に始めた「産農人育成プロジェクト」。今年度は2年生7人が4期生として加わり、新たなスタートを切った。

 15日、商議所であった今年度の入講式。「家業の農業を継ぐ」「野菜に詳しい料理人になる」「食品関係の仕事に就きたい」――。3期生2人やプロジェクトを支える大人たちの前で、4期生が抱負を語った。

 市場のニーズに合った作物を作り、流通させるマーケットセンスを持った農業人。そんな「産農人」の育成を掲げたプロジェクトが始まって2年半。これまで1~3期生として、都市農業科の8人が参加した。

 週に丸1日を費やす実習は、畑での作業にとどまらない。農作物を使った食品加工や市場での対面販売のほか、プロジェクトに講師を送って市場戦略などを伝える食品大手「カゴメ」(名古屋市)の新商品発表会の視察など、多彩なメニューを用意してきた。

 昨秋には、バターナッツカボチャを使ったチーズケーキや羊羹(ようかん)などを開発。共同運営体としてプロジェクトに加わる農業生産法人「ヨコスカアグリファミリー」(横須賀市)のメンバー、「たのし屋本舗」(同市)が経営するレストランで販売した。プロジェクトが目指す「新たな6次産業ビジネスの創出」に一歩、踏み込んだ形だ。

 この春、プロジェクトに参加した4期生の数は、これまでで最多の7人だった。その一人は言う。「この高校を選んだのは、『産農人』があったからです」

     ◇

 入講式の後、生徒たちは相模湾を望む高台へ移動した。「鈴也(すずなり)ファーム」という名の農場を営む鈴木優也さん(36)の畑。ヨコスカアグリファミリーのメンバーでもある。

 「まず、この野菜を収穫してみようか」と鈴木さんが声をかけた。生徒が濃い緑色の葉を引くと、土から現れたのは紫色の小ぶりな根菜。「ムラサキダイコンです。鮮やかでしょう」

 一帯ではいま、旬の春キャベツの収穫が盛んだ。しかし、鈴木さんの畑で育てているのはムラサキダイコンのほか、赤や黄、ピンク色の葉脈が特徴のスイスチャード、ロシア料理のボルシチでおなじみのビーツなど、「よこすか野菜」とも総称される彩り豊かな野菜ばかり。栽培する野菜は年間80種類に及ぶというが、飲食店と農協直販所が8割を占めた出荷先は、コロナ禍で激減。以前から検討していた通販を始めたところ、「SNS映(ば)え」するカラフルさが話題に。食にこだわる消費者も食いつき、着実に注文が増えている。

 有機肥料や減農薬にこだわるのはもちろん、どんな野菜がエンドユーザーの目を引き、購買につながっていくのか――。「売れる野菜は何かを考え、まく種を決める」。鈴木さんが生徒たちに伝えたいというマーケットセンスは、農業の裾野に広がる料理人の仕事や、食品会社での商品開発にも直結する。

 プロジェクトに参加する生徒たちの多くは、非農家の家庭の子どもたち。商議所は今年度から、生徒たちの就農や、関連業界への就職支援に本格的に乗り出した。その第一弾として今春、同校を卒業した2期生2人が、たのし屋本舗とヨコスカアグリファミリーに就職した。

 過疎化、高齢化が急速に進む三浦半島の現状は、農業の世界の現実でもある。鈴木さんは言う。「担い手が減れば、農地は荒れる。新規就農や、関連する仕事を目指す若者を増やさなければいけない」。プロジェクトはいま、日本の農業の未来図を、この地で描こうとしている。(佐々木康之)

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