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Friday, May 8, 2020

[コロナと闘う](4) 作家 佐藤優氏 海外依存でマスク不足 食料安保 強化の時 - 日本農業新聞

佐藤優氏

 農業に今、大変なピンチが訪れて、特に花、畜産、果実などが大変な事態になっている。一方でこのピンチはチャンスになる可能性が十分にある。農業界と政府が連携し、可能性を生かしていくことが求められている。

 家での消費が増えて、普段買い物に行かない人が行き、野菜や肉を手に取る。農産物が身近になり、日々食料を供給する農業のありがたみを感じている。同時に海を越えた食料依存がいかに危険かも皮膚感覚で感じている。これから国産を応援していこうという流れになる。政府と農業団体は全力でその流れをつくらないといけない。

 マスクの大半は中国で作られ、いざという時に店頭からなくなった。これは環太平洋連携協定(TPP)議論の時、農協が主張したことの正しさが今、可視化されているということだ。時代はグローバリゼーションからインターナショナルへ。グローバルとは国境、民族の壁がない状態。他方、インターナショナルは国境の壁があり、国家間で協力し合う体制だ。必要な規制は残り、農業も安全保障上、絶対に必要になる。

 われわれの食の安全保障を守るために農家を支援するのは、営利主体の株式会社ではできない。そんな考え方は株式会社の文法に反している。やはり協同組合だ。農協の出番が来る。農業全体の利益を断固として農協が主張するのは、ひいては日本経済のためにも国家のためになると私は確信する。「農協よ、遠慮するな」ということだ。

 農家はこの自粛の中でぎりぎりの所にいる。自助努力でやれることはやっている。今こそ必要なのは国の支援だ。政府は中小零細企業には動かなければという緊張感を持っているが、それに比べて農家の置かれている状況に対する緊張感が弱い。

 これからは重農主義の時代だ。歴史の振り子は揺れる。安土桃山時代は重商主義、江戸時代は重農主義、過去30年の日本は重商主義に傾き、今や振れ過ぎて新自由主義だ。しかし、マスクも重農主義の精神があれば不足にならなかった。自分たちの大事なものは自分たちで作ると。同じ紙でもトイレットペーパーやティッシュペーパーは国産で供給できる。中国で作って輸入した方が絶対安いに決まっている。なのになぜ地産地消なのか。第1次石油ショックの時の経験が染み付いているからだ。これこそ重農主義の精神だ。

 シャープがマスク生産に進出した。値段は高い。1箱400円か500円で買えたものが三千数百円する。それでも皆、争って買うでしょう。マスクの問題は食料に置き換えることができる。各国は今、食料を輸出規制する動きに出ている。食料安全保障とは、農産物をマスクにしていいのかという話だ。

 農家の皆さんは国家・国民生活の重要な役割を担っている。自分たちを過小評価しないで、自信を持ってほしい。そして協同組合があるわけだから、農協を通じて自分たちの声を遠慮なく発信していくべきだ。(聞き手・田宮和史郎、高梨森香)

 〈プロフィル〉1960年東京都生まれ。元外務省主任分析官。『国家の罠』『自壊する帝国』など著書多数。農業にも関心を寄せる。

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