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Sunday, April 19, 2020

[新型コロナ禍 食と農] 神戸ビーフ・但馬牛 ついえた五輪への夢 好調一変 キロ2000円割れ - 日本農業新聞

飼育する但馬牛の世話をする谷口さん(兵庫県宍粟市で)

 手延べそうめんの産地、揖保川の源流域にある兵庫県宍粟市の桜は4月13日、満開の季節を迎えていた。「同じ桜でも2年前とは全く違って見える」。同市で29年前から但馬牛の肥育牧場「谷口牧場」を営む谷口隆博さん(58)が言った。視線を移し、当日の枝肉相場が印字された手元の紙を見つめた。並んだ生産者仲間の落札価格は、一部で1キロ1000円台後半にまで落ち込んでいた。握った指に力が入り、音を立てて紙にしわが走った。
 

悪夢が再び


 2018年4月、神戸ビーフ・但馬牛の枝肉の1キロ価格は4500円に迫る空前の高値を付けた。20年の東京五輪・パラリンピックを前にしたインバウンド(訪日外国人)効果と海外輸出の好調で、業界は沸き、子牛相場も1頭100万円超と2倍前後に跳ね上がった。兵庫県内の肥育農家は、借金してでも高い子牛を買い、2年後の一層の高値販売を夢見た。

 2年後、新型コロナウイルスの感染拡大で夢はついえた。急斜面を転げ落ちるような昨年末からの相場に、牛海綿状脳症(BSE)の影響で1キロ単価が2000円を大幅に割った01年の悪夢が頭をもたげる。既に子牛の購入価格を下回る危険水域だ。

 暴落を消費者はどう受け止めているか。「神戸ビーフは大好き。生産者は大変と聞いているけど高くてねえ」。東京都杉並区の商店街。神戸ビーフなどを扱う精肉店で、関西出身の女性客がためらいがちに言った。コロナ禍で値崩れしたといっても、経済全体が低迷した中では消費者が抱く高値感は変わらない。
 

努力も限界


 谷口さんが顔を上げた。「俺ら、バブルに踊ったのかな。きょう(13日)の相場は海外輸出が始まった8年前の水準。初心に戻り、国内の消費者に向き合わないと」。引退を決めている62歳まであと3年。6年前から牧場で働く長男の皓大さん(31)は、自分が創業した時と同年齢になった。未来を描ける状況でバトンを渡したい。

 しかし、神戸ビーフの主な輸出先だった欧州や中国が輸入を止め、国内の外食店も外出自粛で客が減少し経営が苦しい。買い支えてきた卸業者の冷凍保存庫も満杯に近い。明るい兆しはない。

 「BSEの時も10年前の口蹄(こうてい)疫の時も牛の問題だったが、全世界の問題であるコロナ禍は農家の努力だけではどうしようもない」。神戸ビーフと但馬牛の応援キャンペーンを始めたJA全農兵庫の谷元哲則畜産部長が言う。生産、流通、販売、消費の現場をどうつなげ、乗り越えるか。関係者の挑戦が始まった。(栗田慎一)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、「農と食」への関心がかつてないほどに高まっている。社会全体で今、考えるべきことは何か。現場から報告する。

<ことば> 神戸ビーフ・但馬牛

 血統や生産で厳しい管理体制が敷かれている但馬牛のうち、霜降りの基準を満たした個体が神戸ビーフとなる。牛の体が交雑種などより小さく、枝肉の単価は良くても絶対量で収入が上がらない苦労が続いたが、12年2月の中国・マカオへの輸出を皮切りに国の和食輸出策と連動し、輸出和牛の代表格へと成長した。

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April 20, 2020 at 05:05AM
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