牛舎で牛の世話をする松下さん=いずれも富士宮市根原の松下牧場で |
新しい経営理念を持ち、地域の発展に積極的な役割を果たす中部地方の青年農業者を表彰する第79回中日農業賞(本紙主催)の優秀賞に、朝霧高原(富士宮市)で酪農に取り組む「松下牧場」代表の松下寛さん(39)が選ばれた。「忙しい、休みがない」という印象の強い酪農業にあって、情報通信技術(ICT)導入による省力化などで、ゆとりある経営を実現。また、酪農教育で多くの子どもたちを受け入れ、地域に貢献したことなどが評価された。 (前田朋子)
一九五〇年、祖父の代に朝霧に入植した牧場の三代目。だが、継承までの道のりには曲折があった。
近隣もすべて酪農家という環境からサラリーマンに憧れ、大学卒業後は金融関係の仕事に就いた。報酬と引き換えに個人の生活がむしばまれる毎日。三年ほどたち、帰郷した際に父が社長を務める牧場の経営を数字で見て驚いた。
「当時乳牛が三十〜四十頭ぐらいで、どちらかといえば小規模。なのに売り上げが五千万円を超えている。仕事で接する個人でこんなに多い人はいない」。支出も多いが、やり方次第でもっとチャンスがある、と一念発起した。
とはいえ、最後に実家の手伝いをしたのは中学生のころ。帰郷後三年は酪農の基礎をみっちり学んだ。
転機となったのは餌の切り替え。当時、導入農家が少なかった「デントコーン」の栽培を二〇一三年からスタート。表土が薄く、すぐ溶岩が顔を出す朝霧での耕作は困難だったが、最新の知見を学び成功した。トウモロコシの実が入るデントコーンは乳牛の好物で、試しに与えると「入れたときと入れないときの食べ方が全然違う」。乳量も増え、病気も減った。
同時並行で百頭強への規模拡大とICT化も進め、搾乳ロボットや、牛の健康を管理するための歩数計やカメラなどを導入した。初期投資は億単位と膨大だったが、牛の管理が容易になり、自身含む三人の従業員は、月二回の休日取得が可能になった。
「搾乳ロボットをもう一台増やしたら、完全週休二日で回せるかも」とさらに先を目指す。「酪農は憧れだけでやっていけない。ほかの仕事と並んでも魅力的な仕事に改革していきたい」
父の代の酪農家たちが始めた「農業体験組合」も引き継ぎ、さらに発展させている。授業の一環で訪れる子どもたちに、動物の温かさや生と死が隣り合う仕事の重要性を伝えている。「ドラマや漫画で牧場に興味を持つ子どもたちがいる。見学する中で、『厳しい仕事』というイメージを変え、一人でも働きたいと思ってくれる子を増やすのも大切だと思っています」
見学用の施設と松下寛さん |
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March 01, 2020 at 05:59AM
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ICTでゆとりの酪農 中日農業賞優秀賞 富士宮・松下寛さん(39):静岡(TOKYO Web) - 東京新聞
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