このところ、国の様ざまな事業のお陰で農業に携わる経営者の方々とかかわる機会が増えてきている。そこで、「農業の働き方改革」に触れてみたいと思う。
日本の農業には沢山の問題があり、離農や高齢化による担い手不足、耕作放棄地の拡大、海外の安価な農産物の輸入による影響など多岐にわたる。これらの問題から「農業は衰退産業だ」と思っている人は多く、いまだにきつく、危険で、稼げないイメージが強く残っているだろう。しかし、日本の農業は着実に変化を遂げ、明るい未来に向かっており、前向きに取り組む経営者が多いことに驚かされた。
農業経営の現状をみると、農家や法人組織等を合わせた農業経営体数は一貫して減少傾向で推移しており、農林水産省の「農林業センサス」の調査結果によると2015年には137万7000経営体となり、この20年弱で約半減している。
しかし、農業経営体のうち法人経営体数は2万7000経営体と増加傾向で推移し、5年前に比べて25.3%増加している。また、雇用されて農業に従事する常雇いの数も、15年は22万人となっており、10年前と比べ、増加傾向で推移している。
法人経営体数が増加しているなか、常雇いの数も増え、大規模経営化していることがうかがえる。
今後もこの法人化、常雇いの増加傾向の流れは確実に進むとみられており、規模拡大や法人化、6次産業化に伴い、常勤者に加えてパートタイマー、短期・季節労働者、外国人技能実習生などの多くの働き手を必要とする経営が増加しており、これらの従業員の労務管理は複雑・多様化し、農業をめぐる労働環境は大きく変化している。
農業では適用除外になっている労働時間、休憩、休日に関する規定は、外国人技能実習生には適用されるなどアンバランスな労働条件も混在している。
そこで、私がかかわっている農業法人では、適用除外とされた労働時間、休憩、休日に関する規定を一般企業並みに合わせ、評価制度、教育制度を採用するなどし、人材の確保に努め、離職者ゼロ、労働者が退職まで安心して働け、女性も高齢者も活躍できる職場づくりを「農業の働き方改革」として努力を続けている。
農業の明るい未来を信じる人々の希望が萎まないよう、農業経営者そして労働者の双方が、働く意欲をより向上できるようにしていくことが「農業の働き方改革」であると考え、私自身も、研鑽を積み、農業経営の発展に貢献していきたいと思っている。
田中章公社会保険労務士事務所 田中 章公【徳島】
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March 01, 2020 at 03:01AM
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