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Friday, December 2, 2022

「農業女子」10年目 誰もが輝く未来築こう - 日本農業新聞

 農水省の「農業女子プロジェクト」が10年目に入った。男性中心の農業界で、若い女性たちが“新風”を起こしてきた。農業発展には多様な視点が欠かせない。農業女子が開けた風穴を、年齢や性差を超えて、誰もが輝く未来につなげるため、一層の環境整備を進めていこう。

 第10期(2022年11月~23年10月)の活動方針は、農機の最新技術などを学ぶ場を創設する他、地域や他団体との交流に力を入れ、経営の向上や農業の魅力発信を強化する。プロジェクトは13年、女性農業者の存在感を高めるとともに、経営力の発展、職業としての農業を選ぶ若手女性を増やすことなどを目的に始まった。これまで企業と連携した農機の開発や、海外での農産物PR、栽培技術・経営勉強会、次世代女性農業者の育成など、さまざまな活動を展開してきた。

 メンバーは当初の37人から927人(10月末時点)に増加。活動は中央から地方へと波及し、地域版農業女子グループやJA女性組織・フレッシュミズ誕生のきっかけにもなっている。

 若手女性農業者の中には地域で孤立し、つながりや発信の場を求めている人も多い。新規就農や結婚、移住先で、すぐに知人をつくるのは容易ではないだろう。地方では若い女性の都市への流出に歯止めがかからず、悩みを分かち合う同世代は少ない。集落の会合は男性中心で参加しづらい。加えて男女とも「男性は仕事」「女性は家事・育児」という性別による役割意識が根強く残り、子育て世代の女性ほど社会参画しにくい現状がある。

 農業女子の活動は、こうした閉塞感を打破する側面もある。若手同士が交流サイト(SNS)などを駆使して自由に情報交換し、自己研さんに努めながら互いに成長する。つながる中で埋もれていた孤独な声をくみ上げ、課題を共有し、解決策を探ってきた。

 女性農業者は、農業をなりわいとする“経営の主人公”だ。仕事で自己実現を果たせるよう周囲の後押しが必要だ。子育て中なら、10月に施行された男性の育休を促す産後パパ育休(出生時育児休業)や、育児休業の分割取得などを活用しよう。農業法人はもとより家族経営協定もこうした制度を参考に見直そう。性差にとらわれず育児と仕事を両立する仕組みを確立することが性別役割分担から解放し、新たな視点を育む。

 農業を活性化するには、従来にない発想や知恵が欠かせない。そのためには性差や年齢に偏りがない多様な担い手が活躍できる環境を整えることが重要だ。いずれ「農業女子」という言葉がなくなり、誰もが「個」として輝くこと。そんな未来を目指そう。

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