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Sunday, November 13, 2022

農地パトロールにICT技術活用 和歌山・橋本市農業委員会 – 全国農業新聞 - 全国農業新聞

2022年11月11日

 橋本(はしもと)市は和歌山県の北東に位置。地域名産の富有(ふゆう)柿などの果樹や、野菜の栽培が盛んな地域だ。同市が2020年に実施した「将来の地域農業に関するアンケート」では、農地所有者の約6割は70歳以上、そのうち約3分の1が後継者のめどが立っていない状況が浮き彫りとなった。遊休農地の増加などにより、農業委員会の業務が増加しつつある。このため同市農業委員会(池田泰子(いけだやすこ)会長)では、ICT技術を活用し、効率的な農地パトロールに取り組んでいる。

同市は県内の農業委員会に先駆け、農地パトロールにICT技術を導入した。16年の農業委員会制度改正以降、遊休農地の増加や21年度の遊休農地に関する措置の大幅変更など、年々増加傾向にある農業委員会の業務負担を軽減するのがねらい。
 民間企業の農地パトロールを支援するサービスを導入することで、作付け時期などを考慮した時期別の人工衛星画像、航空写真を比較・解析する。管内一円の植生や植物の活性をAIが把握することで、樹園地以外の農地は遊休化のおそれがある筆を自動で判別している。
 委員らによる目視での現地確認は、遊休化のおそれがある農地の筆と樹園地に限定。全筆を目視で確認していた従来と比較すると、大幅な業務負担の軽減に成功した。
 またサービスの一環として提供されるPDFファイルを委員らの農地パトロール用資料として活用。従来は事務局が膨大な時間を要していた資料作成の負担を削減した。

樹園地を確認する池田会長
農地パトロール用資料を事務局職員が確認

 事務局の植木崇(うえきたかし)副主幹は「従来の農地パトロールでは、固定資産税の担当部署から白図の現況地図を借りていたが、視認性が低く、使い勝手がよくない部分もあった。この方式なら効率的に調査が進められるし、委員さんからの評判も上々です」と話す。
 今後は、全委員・推進委員へのタブレット配布を予定。農地パトロール用資料を紙ベースでの配布からデータでの提供に変更することや、農家の意向把握などに活用することも検討している。
 池田会長は「毎年のように多くの制度が改正され、業務がかなり増加している半面、非農家からの遊休農地の対処に苦慮している農業委員会に対する視線が厳しい。最新の技術を活用しながら、少しでも効率的に業務を進めていきたいです」と話している。

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