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Wednesday, September 7, 2022

JA職員 副業農業 農家の労災加入が必須 - 日本農業新聞

 JA職員の副業として農業を認めるJAが増えてきた。実家が農家でない職員が増えているためで、農業を通して農家との心の距離を縮め、労力不足の解消につなげる。万一の際の労災保険の加入など、労務管理を万全にしてJA職員の副業農業を進めよう。

 副業農業の導入のきっかけは、政府による働き方改革だ。政府は副業・兼業の推進に向けたガイドラインの策定やモデル就業規則改定など、柔軟な働き方ができる環境整備を進める。JAグループもJA全中が2022~24年度の「第4次JAグループ人づくりビジョン全国運動」の中に、JA職員の副業としての農業従事を盛り込んだ。

 通常の職員研修で行う農作業や農業ボランティアなどは、受け入れる農家側が、職員に無理をさせてはいけないという遠慮が働き、難しい作業は任せられないとして、職員の作業範囲が限定されがちだった。職員の方にも一過性のやらされ感があり、習熟度は上がりにくかった。

 これに対して副業農業はJA職員の自由意思で、空いた時間に農家から対価を得て作業をする。農家も遠慮することなく仕事を任せられる。職員は農業の大変さを実感するとともに農家とのコミュニケーションが活発となり、現場の需要を捉えたJA事業の展開も期待できる。

 一方、副業農業を進める上で欠かせないのが、JA側の環境整備だ。就業規則を改定し、本業に支障が出ないよう労働時間や健康面の管理についてルールを設けることが大事だ。職員と話し合いを重ね、双方が納得した内容にする必要がある。

 注意したいのが、労災保険への加入だ。JA職員として仕事をする場合、通勤や仕事中にけがや病気、事故などに遭った場合は、治療費など国による全額補償を受けられる。保険料は事業主が負担し、1人でも雇う場合は労災保険への加入義務がある。

 しかし、農業の場合は、パートやアルバイトも含めて従業員が4人以下の個人農家は、労災保険の加入が「任意」となる。JA職員が副業で農業をしている時にけがを負った場合、受け入れ農家が労災保険に加入していなければ、農家側が全額治療費を負担しなくてはならない。

 特定社会保険労務士の入来院重宏氏は「JAは職員の安全を守ることが最優先。事故を未然に防ぎ、安心して職員に働いてもらうためにも、労災保険に未加入の農家に職員を派遣するべきではない」と指摘する。

 労力不足を解決しなければ生産基盤の弱体化はさらに進む。安心して農業現場で働ける環境の整備が、副業農業を広げる鍵となる。

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