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Thursday, March 31, 2022

働く君への手紙 農業に携わる志持って - 日本農業新聞

 JA入組おめでとう。勇気を持って新しい一歩を踏み出した君たちに手紙を書いたよ。どんな部署に配属されるのか、仲間はできるのか、どきどきだろうね。伝えたいのは「農業に携わる仕事に志を持ってほしい」ということ。大丈夫、君ならきっと。

 君はなぜ、この組織を選んだのだろう。やりがいだろうか、安定しているからだろうか。たくさんの仕事がある中で農業に携わる仕事を選んでくれたことに、まず「ありがとう」と言いたい。

 温室から出た時、外の風がひやっと冷たく感じることがあるよね。高校や大学を出て新しい世界に飛び込む君は、まさにそう感じているかもしれない。周りを見るとできそうな人ばかり。ついていけるかなあ。期待以上に不安が先に立つだろう。でもね、偉そうに見えるあの人だって最初はみんな1年生。もちろん、これを書いている私もね。

 学校で勉強したかもしれないけれど、この国の食料自給率はカロリーベースで過去最低の37%しかない。安ければいい、今さえよければいい、自分さえよければいい――。便利さや快適さを求め過ぎたツケを払わねばならない時にきているのかもしれない。

 新型コロナウイルス感染拡大による物流の混乱に、ロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけ、海外から輸入する肥料や飼料などの農業資材や、小麦などの穀物、重油の価格がみんな高くなっているんだ。

 この最大のピンチを苦難と捉えるか、チャンスと捉えて対策を打つか。それが分岐点となる。海外の情勢に翻弄(ほんろう)される道を歩むのではなく、今こそ自給率を底上げし、足腰の強い農業に転換する道を選ぶべきではないか。そのためにはどう考え、何をすべきか。この国の農業と食を守るために、一緒に解決策を考えよう。

 協同組合のことも知ってほしい。株式会社はたくさん株を持っている人が支配するけれど、協同組合は農家組合員1人につき1票。民主的な運営が息づいている。大きな災害が起きた時には、組織の壁を越えて全国から被災地に駆けつける。炊き出しをしたり、がれきの後片付けをしたり、支援金を募ったり。いい事例は独り占めしないで教え合う。それが協同の力なんだ。協同組合の父と呼ばれた賀川豊彦氏は、平和と共存共栄を世界に訴え、協同組合を「友愛の経済」と説いた。

 日々のニュースにも関心を持とう。スマートフォンから洪水のように流れてくる情報をうのみにすることなく、自分はどう思うのか、自分の頭で考える癖をつけよう。それがぶれない軸となり、志となっていく。きょうからよろしくお願いします。

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April 01, 2022 at 03:00AM
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