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Saturday, February 26, 2022

戦禍に震える穀物大国 断たれた刷新 ウクライナ農業の研究者「日常戻って」 - 日本農業新聞

 ウクライナ国立農業科アカデミーの日本人初の外国人会員、神戸学院大学経済学部教授の岡部芳彦さん(48)は、ロシア軍侵攻後もインターネットを活用し親交のある人々と連絡を取り続ける。多くが日常生活を送っているが、返信のない人も増えており、不安は募る。一方、同国中部チェルカッスイの日本料理店スタッフは25日、電話取材に「避難する人が増えている」と不安を隠さなかった。戦禍が全土に広がりつつある。(栗田慎一)
 「さっきまでウクライナにいる知人とやりとりしてました」。25日正午すぎ、兵庫県に住む岡部さんが言った。旧ソ連崩壊直後の高校3年の時にウクライナを初訪問して以降、日本との橋渡し役として活動を続けてきただけに、友人知人は数えきれないほど多い。

 同日未明にキエフで爆発が起きたというニュースを受け、安否確認を続けていたのだ。「爆発現場は首都の周辺で、人々はまだ落ち着いている。しかし、ガソリンの売り切れなど暮らしへの影響がじわじわと広がっている」

 連絡がつかない人は「避難で移動中のためかもしれない」と不安な気持ちを自らなだめるように言った。

 岡部さんは新型コロナウイルス禍の2020年秋、キエフにある同アカデミーの外国人会員に選出された。農業大国を象徴する研究施設で、近年はロシアへの経済依存から脱却を図るための農産物輸出などに力を入れる。軍事侵攻は、日本の知見で農業分野のイノベーションを図ろうとしていた矢先に起きた。

 「ロシアとウクライナは穀物輸出国としてセットで語られることが多いが、実はライバル国同士。仮にロシアがウクライナを支配することになれば、両国の小麦生産量を合わせれば世界トップの中国やインドに匹敵する」と語り、戦火が長期化すれば日本の7倍を超える農地も荒廃しかねないと懸念する。

 「侵攻はあまりにも突然だった。ウクライナは野菜も豊富で、人々の性格は明るい。早く日常が戻ってほしい」。岡部さんは願い、きょうも安否確認を続けている。

避難の車、長蛇「どうなるか」

 「これからどうなるのか分からない」。キエフの南東100キロ、ドニエプル川沿いにある日本料理店で働く現地の女性スタッフが言った。ウクライナでも和食ブームが起きており、国内に3店舗を展開する人気店だ。

 夜間の外出は制限され、日本など西側各国の在外公館が移動した西部リビウ方面へ人々が避難を始めているという。「道路は逃げる車でいっぱい。どうすればいいのか分からない」。8000キロ離れた戦火の国から、女性の不安と戸惑いが受話器越しに伝わってきた。

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February 26, 2022 at 03:03AM
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