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Friday, January 7, 2022

「ローカル5G」実証進む 高速通信でスマート農業後押し 地方活性化のカギに - 日本農業新聞

 次世代の高速通信規格「5G」を地域単位で強化し、農業など特定分野で新たなシステムを構築する「ローカル5G」の活用が広まり始めた。総務省によると、2021年度の開設免許交付件数は50件(12月下旬時点)で前年度の6割増。農作業の大幅な効率化や遠隔医療など、デジタルを活用した地方の活性化・課題解決の新たな手法として実証が進む。(丸草慶人)

 ローカル5Gの免許交付件数は現在83件。このうち、申請が本格化した20年度は31件。翌年の21年度は12月下旬時点で既に前年度を19件上回る。

 通常の5Gは携帯電話会社が基地局を開設し、通信環境を整備する。データ送受信の超高速化や、より多くの機器と端末の同時接続が可能になるなどの特徴を持つ。

 ローカル5Gは、5Gの持つ特徴のうち、特定のものを強化できる。用途に応じて5Gよりも多い情報量などを扱う必要がある場合、開設者の判断で通信速度をより早くしたり容量を増やしたりできる。同省は「地域特有の課題を解決するには独自の通信環境が必要なケースも多く、ローカル5Gを選ぶ動きが広がっている」(移動通信課)とみる。

 ローカル5Gの普及を目的に、同省は関連設備の設置費用などを負担する実証事業を用意。免許を取得した通信事業者や自治体、農業生産法人などで構成するコンソーシアムを支援する。ローカル5Gは、政府が掲げるデジタル田園都市国家構想の施策にも位置付けられ、年度内に実証件数の新目標を定める。

 農作業の効率化に向けて、埼玉県深谷市の観光農園「いちご畑」とNTT東日本、農研機構などは、ローカル5Gの映像データ送受信超高速化の機能を生かした管理体制の構築を目指す。21年11月から実証を始めた。

 4Kカメラ搭載の自走式ロボットがイチゴの生育状況の映像を撮影し、収穫や防除が必要な場所を特定。ローカル5Gの通信環境を活用し、生産者が所有する端末に情報を送り、各種作業の効率を高める。3月の実証期間終了後、実用化に向けた課題を検証する。

 長崎県などは、離島での医療体制を確保するためにローカル5Gの活用を検討する。長崎大学病院(長崎市)の専門医と離島にある五島中央病院(五島市)の医師をつなぎ、現地の患者を診察する遠隔地医療のシステムを21年1~3月に実証した。

 離島の五島市にいる医師は、カメラや通信機能を備え、ローカル5Gの通信環境と接続させた眼鏡型端末のスマートグラスを装着し、内科などの患者を診察。長崎市にいる専門医に、病状の映像などをリアルタイムで送信した。専門医が映像に基づいて処置方法を指示した。こうした実績を踏まえ、実用化の検討を進めている。

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