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Friday, September 3, 2021

全農×JTB 農業労力連携で成果 - 日本農業新聞

 JA全農と大手旅行会社のJTBの連携協定に基づく労働力支援事業が各地で本格化している。両者は4月に協定を締結。JA全農山形は、全国で先駆けてサクランボの収穫、選別・箱詰め作業で取り組み、成果を上げている。北海道では、JA新おたるが道内のホテル従業員をミニトマトの収穫作業で受け入れている。同事業では、JAグループが生産者のニーズを取りまとめ、JTBが生産者から農作業を受託する。2021年度は延べ5万人に農作業に従事してもらう目標だ。

■サクランボの旬に112人参加 農家・作業者から好評 山形

 【山形】JA全農山形は、JTBと連携して取り組んだサクランボの労働力支援事業で、3JA管内の3生産者の園地で延べ112人が収穫などの作業に従事し、生産者・作業者の双方から一定の評価を得ることができたとする総括結果を公表した。山形市で開いたJAグループ山形と報道機関との広報懇話会で、高橋幸紀副本部長が明らかにした。

 6月上旬~下旬の収穫と選別・箱詰めを組み合わせた一貫作業を請け負い、人員を募った。JAてんどう管内の生産法人と、JAさくらんぼひがしね、JAみちのく村山管内の2農家の作業に、延べ127人が応募。作業リーダーを含め、延べ112人が作業に従事した。1日の実働は6時間で、受託料金は出来高換算で精算した。

 応募者は、女性が7割。6割近くはJTB関連取引先など観光業関係者で、残りが一般からの応募だった。約76%が副業で、次いで学生、無職。年代は10~70代まで幅広く、30代以下が全体の約6割を占めた。

 生産者からは「労働力確保に手間を掛ける必要がなく、必要な時期だけ労働力を確保できる」「人が入れ替わるが、作業リーダーを中心にスムーズに作業を進めてもらった」などの好反応があった。労働者側からは「コロナ禍で仕事が減っている中、ありがたい」「同僚や友人にも紹介したい」などの声があった。

 全農山形は、生産現場と労働者双方から求められる事業となる可能性や、農業関係人口の拡大で地方創生にも貢献できるとの手応えを示す。

 8月からJAやまがたのキュウリ選果場で作業請け負いの実証試験を進めている他、今後、トルコギキョウの出荷調製や、西洋梨「ラ・フランス」の収穫調製作業請け負いなども計画している。

■ホテルマンとダブルワークで収穫に活躍 北海道

 北海道のJA新おたるは、JTB北海道事業部と連携し、道内のホテル従業員を受け入れている。オーセントホテル小樽、札幌ビューホテル大通公園の従業員が8日まで、JA管内の仁木町でホテル業務との「ダブルワーク」でミニトマトの収穫作業に励む。JAは「新たな人手対策につなげたい」と期待する。

 町内で8日までの23日間、2社のホテル従業員が1日当たり2、3人ずつ、町内の生産者2戸でミニトマトの収穫を担っている。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、旅行需要が激減している観光業界は、従業員の仕事の確保が課題になっている。この労働力支援事業は、観光業界で働く人たちの新たな活躍の場をつくる取り組みとしても期待されている。JTB北海道事業部では、農作業の手伝いだけでなく、ホテルのシフト勤務の調整など、ダブルワークが効率的に運用できるノウハウも蓄積し、来年度以降は本格展開したい考えだ。

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