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Monday, July 19, 2021

有機農業の拡大 畜産の耕種進出を促せ - 日本農業新聞

 農水省が目指す有機農業の拡大に向けて、畜産農家の役割に注目したい。堆肥をつくっても、受け皿となる耕種農家が少ない地域もある。畜産農家が耕種農業に参入すれば、有機農業の担い手にもなり得る。国には、事例収集や成功要因の分析などを行い、可能性を探ってもらいたい。

 農業・食品産業の環境負荷を軽減する「みどりの食料システム戦略」で同省は、化学肥料使用量の30%低減などとともに、耕地面積に占める有機農業の割合を2050年までに25%(100万ヘクタール)に拡大するとの目標を打ち出した。化学肥料の代替資源として、地域にある家畜ふん尿は有望だ。堆肥に加工し、農地に還元すれば、有機農業の拡大を支える基盤になる。

 「みどり戦略」では、生産力の向上と持続性を両立させるため、耕畜連携による環境負荷軽減技術の導入や、安価で流通に適した有機質資材の開発・普及といったイノベーション(技術革新)に取り組む計画だ。一方で、現在2万3700ヘクタール(18年)の有機農業の取り組み面積を100万ヘクタールに拡大するには、多様な担い手の確保が不可欠である。

 耕畜連携の技術開発では、耕種農家にとって近隣の畜産農家の堆肥を使いやすくすることが想定される。連携を深めれば、耕種農家が有機農業に取り組むケースも増えるだろう。流通に適した有機資材の開発・普及では、畜産農家が加工した堆肥を、遠隔地の耕種農家が利用しやすくする技術が挙げられる。畜産地帯から離れた場所での有機農業の拡大につながる。

 こうして耕種農家を有機農業の担い手候補に位置付ける他に、畜産農家が耕種部門を取り入れ、有機農業に転換する道を検討する必要がある。

 実際、野菜作などを手掛ける畜産農家が現れている。畜産の規模拡大を阻む要因の一つがふん尿処理だ。それに対応するため、自給飼料生産で大型機械を装備している酪農家には、経営内から出るふん尿と自前の機械を生かし、増やした借地で露地野菜を生産しているケースもある。最近は、養鶏や養豚などで耕作用の農地を所有していない農家にも、自前の堆肥を使って借地で野菜栽培を始める経営が見られるようになった。

 畜産農家にとって有機肥料は手近にある。防除や除草で新技術を導入し、耕種部門の労働力も確保できれば、有機農業への参入を促せる。

 自給飼料生産で土になじみがある酪農家だけではなく、肉用牛や養豚、養鶏の農家が耕種部門を取り入れるには、どんな課題があるか。畜産農家も有機農業の担い手候補として捉え、優良事例を収集・分析し、生産現場の意向を踏まえ、支援策などを具体化することが国には求められる。

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July 20, 2021 at 04:05AM
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