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Saturday, June 19, 2021

バイオ炭の普及 環境負荷減の原動力に - 日本農業新聞

 木や竹、もみ殻などのバイオマス(生物由来資源)を原料とする「バイオ炭」を活用し、温室効果ガスを減らす取り組みが始まっている。政府も推進しており、「J―クレジット制度」の対象に昨年加えた。農業での環境負荷低減の原動力として広げよう。

 政府は、温室効果ガスの排出を2050年までに実質ゼロにするとの目標を法制化した。農業で吸収源の役割を担うのが、農地への炭素貯留だ。堆肥や緑肥などの有機物を農地に施用すると一部は分解されず、二酸化炭素(CO2)の大気中への放出が減る。

 現行の政府の地球温暖化対策計画では、農林水産分野の30年度の削減目標を、国全体の1割に当たる約4000万トン(13年度比)と設定。うち696万~890万トンを農地への炭素貯留で減らす。しかし実績は19年度で178万トンにとどまる。また「50年実質ゼロ」に合わせ30年度の国全体の目標を引き上げる方針で、同分野での削減が一層求められる可能性がある。

 そこで、期待が高まっているのがバイオ炭だ。木や竹、もみ殻などを炭にすることで分解されにくくする。バイオ炭の活用は土壌改良の効果もある。しかし知名度が低いこともあって広がらなかった。

 注目を集めるようになったのは、「J―クレジット制度」の対象になったからだ。CO2削減量を政府が認証する仕組みで、企業などに売却できる。追い風が吹いており、農家やJA、地方自治体など産地の関係者が連携し、バイオ炭の活用に着手したい。

 動きだした産地もある。立命館大学の柴田晃教授が立ち上げた「日本クルベジ協会」は、京都府や千葉県の農家らと協力し実践。「クルベジ」は「地球を冷やす野菜」を意味し、農産物をクルベジブランドで販売する。また福井県などでは、炭素貯留能力の高いバイオ炭の開発が始まった。

 バイオ炭の普及には課題もある。一つがコストだ。同協会によると、品目にもよるが、農地に投入する炭は10アール約200キロが目安で、費用は1万~2万円程度かかる。農家の高齢化が進む中、散布作業も負担が少なくない。

 活用できる農水省の補助金もある。環境保全型農業直接支払交付金では、バイオ炭の活用に全国一律の支援は行っていないが、都道府県が使い道を決める「地域特認取組」を活用すれば一定額を助成できる。だが、実際に助成しているのは福井や滋賀、京都など6府県にとどまる。

 農水省は、「みどりの食料システム戦略」でバイオ炭の農地施用の促進を掲げた。地球環境保全への関心が国内外で高まっており、環境負荷の少ない農業への転換は急務である。バイオ炭普及への支援策を構築すべきだ。

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