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Saturday, March 13, 2021

長い冬が明け久々のドライブ せっかくならピカピカのポルシェで! - octane.jp

長い冬が明け、春の暖かさを感じられるようになってきた今日この頃。そろそろガレージで冬眠していたポルシェに火を入れる時期になってきたのではないだろうか。しかしどうせ久しぶりに愛車を人目にさらすのであれば、完璧に綺麗な状態にしておきたいものだ。

ポルシェで長年車を綺麗にしてきた洗車のプロ、ダニエラ・フリードルが適切な洗車方法を教えてくれた。

911のボディに丁寧かつ大胆にパッドを滑らす彼女は、車が大好きだ。嫌いなものは土。確かに彼女の仕事に土は欠かせないものかもしれないが、彼女の友達ではない。
しかし彼女にかかればどんな汚れも敵わない。ホイールアーチについたダスト、塗装の黒染み、窓に叩きつけられて死んだ虫、ボディの錆びなどをはじめとした頑固な汚れに毎日彼女は直面するが、決して諦めることはない。

細かいところをより細かく

「私にとって車はゲストであり、彼らのためには最善を尽くさなくてはいけません」

と、バイエルブルンのミュンヘン郊外にあるスイスバックスカースパで、彼女のトレードマークである光沢のある仕上げをかける情熱的なカーディテーラー(洗車のプロ)は話す。
フリードルのスケジュールはいつもいっぱいだ。特に春になると冬眠から覚めた車を再び美しく輝かせたいという人が増え、特に忙しくなる。しかし彼女は一度に何台もの車を同時に作業することはない。

また、彼女が洗車の極意について全て説明するとなると2~3日はかかるが、「私たちはこの仕事を職業にしているため、プロだからこそできることもありますが、自宅でできることも同じようにたくさんあります」と彼女はいう。

まずどんな洗車であっても徹底的な手洗いから始める必要がある。フリードルによると自動洗車は塗装に細かい傷が残るため、理想的とはいえない。

「自動洗車は車が本来持つ輝きを奪い、醜いホログラムを生み出してしまいます」と彼女は説明する。

手洗いの黄金ルール

フリードルはポルシェに水をかけ、バケツに入れた温水に溶かしたpH中性シャンプーで上から下に泡立てる。彼女が手に持つパッドは水を滴らせながら上下に動いていく。決して円を描くようにスポンジが動くことはない。

「1つ目のルールは常に垂直線または水平線上のラインで手を動かすことです」

円上に動かすことで、彼女が大嫌いなものの1つ、マイクロスクラッチ(極めて小さな傷)を生み出してしまうのだ。また彼女は従来のスポンジに関してもアドバイスしている。

「スポンジの粒子は小さな新しい引っかき傷を引き起こします」

綿のカバーがついたスポンジをフリードルは勧める。

2番目のルールは、「クリーニンググロスが地面に落ちたら綺麗なものと交換する」ということだ。そして3番目は「洗車中にずっと車を濡らし続けておく」ということ。

フリードルは車をすすぐと、ゴム製のクレーパーで水を取り除く。隅や隙間に残っている水分はエアクリーナーを使って吹き飛ばしてから、綺麗な布でこすって乾かす。この時も円上に布を動かしてはいけない。ホイールも布で乾かす前に、クリーニングブラシと専用のホイールクリーナーを使用してクリーニングをおこなう。

魔法の道具

「ほとんどのカスタマーは車の塗装の状態について少し楽観的すぎます」と、彼女はLEDランプを当てながら911のシルバーの塗装の微細な傷を見せる。確かに数えきれないほどの傷や渦巻きがある。

「これらを取り除くのが私たちの仕事です」と言いながら、彼女は青い粘土でボディの表面を擦り始めた。

ペイントラバーはペイントから不要な堆積物を除くための魔法の道具として業界のプロたちにも愛用されている。ただしうまく使うにはエルボーグリースと優れたテクニックが必要だ。軽い圧力をかけながら粘土を前後に押すだけだが、結果は一目瞭然だ。処理した箇所と処理していない箇所では全く違う。

次にダメージのない塗料を剥がすことなく残留堆積物を除去する洗浄剤を施す。「一般的な製品は大抵洗浄と研磨を組み合わせています。これよりも塗料除去率が高いのによく選ばれてしまっています」フリードルはプロ用の研磨機を使うが、除去が難しいプラスチックとゴムの部品の部分にはあらかじめマスクをつける。

修復の音

液体が塗布されるとすぐに、マイクロファイバークロスで拭き取る。処理された部分と処理されていない部分を比較すると、前者の塗装はより深く見え、彫刻的な要素がより強まる。フリードルがボディを撫でると、キュッキュと音がするが「修復の音がしてますね」といって、彼女はニヤリと笑う。

フリードルが「車の靴」と表現するホイールにも、年度と洗浄液が注意深く塗布される。「いうまでもなくホイールはスマートに見えるようにしておく必要があります」と彼女は話す。特殊なリムワックスを塗布し、10分後に研磨する、またプラスチックやゴムの部品にも特別な処理が施されている。プラスチッククリーナーは絵筆、ブラシ、または布で塗布されたあとディープケア処理が施される。

「スキンケアみたいなものです。クレンジング後はいつも顔にクリームを塗るでしょう?」と彼女はいう。次に彼女はシーラントをスプレーする前に水溶性エンジンクリーナーでエンジンの処理を始めた。シーラントは少なくとも2時間はかかるからだ。

インテリアのケア

「この辺りで大抵の人はやる気をなくしてしまいます。しかし車は裏から輝きが溢れ出すのです」と、フリードルは語る。

マットはスチームクリーナー処理を施され、装飾品の類は専門のレザークリーナーで処理され、スプレーを吹きかけてからマッサージされる。こうするとレザーは見違えるようになり、テカテカと光沢のあったレザーは本来のセミマットの質感に変わるのだ。

最終工程に近づくと、フリードルは「ツフェンハウゼン」というラベルのついた瓶に手を伸ばし、エンドウ豆サイズのワックスのかたまりを手に取り、手のひらの間でこする。そしてポルシェの脇腹を優しくワックスのついた手でマッサージする。まるで理学療法士がサッカー選手の足にアルニカオイルを塗るように。

「ポルシェのボディのカーブは完璧なので、この作業を楽しむことすらできます」といいながらワックスを5分~10分ほど塗り込んでから、素早く磨く。

彼女が手をかけたポルシェは光り輝いている。ボディはもちろん、ホイール、エンジン、内装のレザーやプラスチック部品までもがもはや新車以上の美しさだ。

「見えないところから車は輝きを放つのが分かるでしょう? 春がやってきましたね」


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March 14, 2021 at 10:06AM
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