東京都国立市のアパートで昨年11月、高張麻夏(たかはり・あさか)さん(41)が転落死を装って殺害されたとみられる事件。「怖いよ」。夫の高張潤容疑者に殺害された疑いが浮上した妻の麻夏さんは、事件直前、母親にこう訴えていたという。母親が28日、取材に応じた。
母親によると、現場となったアパートに1歳の娘とともに転居し、新たな生活を始めたのは昨年秋ごろだった。ただ、普段から高張容疑者とはけんかが絶えなかったという。主な原因は高張容疑者の借金。麻夏さんの貯金を使い込むこともあったとされる。
2人は事件直前にも言い争いをしていたとみられ、麻夏さんから「潤とけんかをして、もう離婚だ。潤が何かすると話している。怖いよ」という内容のメールが母親に届いた。それが麻夏さんからの最後の連絡となった。母親は「実家に帰ってくるよう伝えればよかった」と後悔をにじませた。
小さな体で何事にも一生懸命取り組み、子育てに奮闘していた麻夏さん。同じアパートに住む住民は、敷地内で1歳の娘を幸せそうに抱いている麻夏さんの姿が印象的だったという。
麻夏さんが亡くなった翌日、高張容疑者からは「麻夏は自殺だった」という趣旨のメールが母親に届いた。だが…。母親は「子育てを楽しんでいた娘が、絶対に自殺するはずがない」と疑念を抱き続けてきたという。
警視庁捜査1課は、別れ話のもつれが事件の原因になった可能性もあるとみて、動機の解明を急いでいる。「娘が亡くなったことはまだ受け入れられない。とにかく娘を返してほしい」。母親は力を込めた。
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