政府は観光支援事業「Go To トラベル」について、新型コロナウイルスの感染状況が深刻な地域を目的地とする旅行を対象外にしたが、東京や大阪など感染拡大地域から出発する旅行を対象外とすることに後ろ向きだ。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は出発分の一時停止を求めたが、経済再生を重視する政府は応じていない。(清水俊介)
◆分科会は深刻な地域の一時停止を要請
分科会は25日夜にまとめた提言で、感染状況を示す4段階の基準で2番目に深刻な「ステージ3相当」と判断された地域は事業を一時停止するよう要請。分科会の尾身茂会長は記者会見で「出ないこと、行かないこと、両方必要。専門家として有効な対策を言うのが責任だ」と強調した。
分科会は20日の提言で、ステージ3相当と判断された地域を事業の対象地域から除外するよう求めた。これを受け、菅義偉首相は感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止すると表明した。
◆「地域の医療逼迫すること抑える」
政府は札幌、大阪2市を事業の対象から除外し、2市を目的地とする新規予約の一時停止などの措置を実施。出発分は含めず、目的地とする旅行に限った理由について、西村康稔経済再生担当相は会見で「医療が逼迫している地域の医療がさらに逼迫することを抑える」ためと説明した。
しかし、感染拡大防止のためには人の往来を制限し、接触の機会をできるだけ減らすことが有効。医師会などからは、感染拡大地域から出発する旅行の除外を求める声が相次ぐ。
◆官房長官「方針変える状況にない」
加藤勝信官房長官は26日の会見で、出発分の除外について「不断の検討は行っていきたい」としつつも「感染防止対策を徹底すれば、旅行による感染リスクは低減できると考えている」と指摘。官邸幹部は「東京から人が行かなくなると経済が大変なことになる。方針を変える状況にない」と断言した。
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